M...insensible
床町宇梨穂
M...insensible
僕と彼女は友達だった。・・・はずだった。
とにかく僕と彼女は偶然が重なり合いこれは必然なのかなと思うほど縁があった。
席替えをすれば、隣同士。
靴箱だって僕のは彼女のひとつ上。
ウォークマンに入っていたテープはスティーブ・バイ。
弁当のおかずだって結構同じ日があった。
特別気が合ったわけではないがすぐに友達になった。
そして彼女は僕の親友の一人と付き合う事になって僕には他の彼女がいた。
よく四人で出かける事が多くなった。
四人で喫茶店で話をしていてもやっぱり僕と彼女はなぜか話が盛り上がった。
そうして半年ぐらいが過ぎた時、彼女は僕に言った。
私達はこんなに縁があるんだから一緒にいないのはおかしい。
僕にはその事をどう消化していいのか分からなかった。
だって僕達には友達と言う絶対に超えられない壁があるはずだから。
しかし僕は彼女と寝てしまった。
不思議な事に親友と自分の彼女に対しての罪悪感はなかった。
彼女も何の罪悪感も感じていないようだった。
そう、僕達はこれはしょうがない事なんだ。
当たり前の事なんだ。
そんな風に思っていたのかも知れない。
それから彼女は友達ではなくなってしまった。
いや、ただの友達ではなくなってしまった。
体を重ねる友達になってしまった。
彼女と関係を重ねるようになって一年後ぐらいに僕は、実家から5000マイルも離れた場所に住む事になった。
でもやっぱり僕達は縁があるのか、彼女もその半年後には同じ町に住む事になった。
腐れ縁。そんな言葉を二人は使った事もあるけれど、僕にはあまり興味のあることではなかった。
結局彼女とは彼女が他の男と結婚するまでそんな関係が続いた。
彼女が結婚してから、一回だけだが偶然僕がよく行く店で彼女と会った。
そして昔のように寝た。
僕は本当に彼女とはよく会うなと思ったのでその事を彼女に伝えた。
彼女は言った。
世の中そんなに偶然が重なるわけがないでしょう・・・・・・。
僕は何も言えなかった・・・。
M...insensible 床町宇梨穂 @tokomachiuriho
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