オルセン症

仁藤 世音

猟師カリ

 オオカミ対策で村の仲間と一緒になって狩りをしている。こうすればやつらは襲ってこない。今日のターゲットであるライチョウの確保は順調に進んだし、既に俺も十分な成果を上げている。ただ、一つ奇妙なことがあった。アオメムシクイとか言う、おとなしいはずの鳥がすっごく喧しく鳴いてたんだ。得にもならないが、こう鳴かれては集中出来ない。だから仕方なく捕えた。ライチョウと一緒に食うさ。美味くはないが。

 村に戻った後はラパライネンに誘われてみんなでバーに行った。あの野郎、また女に振られたってんで荒れてたな。猟師仲間が揃って既婚なもんだから焦ってんのかもしれん。酒に弱いくせに飲みすぎなんだ、結局俺たちが家まで運ぶ羽目になった。

 愛妻の待つ我が家に帰って、ライチョウとアオメムシクイを料理してもらった。どうしても俺は料理が上手くないんで、いつも妻に任せてしまう。あいつの腕は一級だが、それを差し引いてもアオメムシクイは美味かった。驚いたぜ。前食ったやつはパサパサで味が無くて、ひでえもんだったのに。身が少ないせいで妻の分が無かったのが申し訳なくなった。

 その後は夜遅くまで話し込んだ。妻の愚痴はなんだか面白おかしいんでつい聞き入ってしまう。妻が寝入ってから自分の部屋に向かった。変だと言われるが、俺たちは同じ部屋で寝ないんだ。

 そこで伸びをした時だった。全身がムズムズして、急に立っていられなくなった。倒れるのを止められなくて、視界が真っ赤になってそれで……──────

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