樹(いつき)@作品使用時の作者名明記必須

嘘だ、嘘だ、俺は絶対に信じない。

お前とは一週間前に「また走りに行こうぜ」って電話で話したばかりじゃねぇか。

なんでお前がこんな早くに逝っちまうんだよ。

お前は悪い冗談が好きだったから、俺を驚かせようとしてるだけなんだろ?


そう思ってここに来たけど冗談でも嘘でもなかった。たくさんの人がお前の死を悲しんでいた。

笑ってるお前の遺影を見ても俺は涙が出なかった。

お前の死をまだ現実として受け入れられなかった。


大人になってからできた友達がお前だった。同じ車好きの趣味仲間だ。

また会える。これから先もずっと、と思ってた。なのに、なんで…


葬儀を終えて駅から出ると雨が降っていた。

傘は無かったが雨に濡れても構わなかった。

「…お前はもういないのか」

雨と一緒に涙が頬を流れるのを感じた。

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