FLYING DEAD EYE
COTOKITI
第1話 BEGINNING OF DEAD EYE
《1948年 8月 3日》
我らは戦う、戦い死ぬのだ。
偉大なる祖国の為に、家族の為に、戦友の為に、若しくは歪んだ己の欲望を満たす為に。
我らは戦い、死ぬ運命にある。
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ラジオから流れた一つのニュースが我が国、ウェダン帝国を混乱に陥れた。
〈臨時ニュースを申し上げます、臨時ニュースを申し上げます。 先日、我が国ウェダン帝国はアラード共和国、レドーレン王国、リグスタッド公国、ギーベル連邦、ライダル合衆国と再び交戦状態に入れり〉
キャスターが淡々と告げたそれは、ウェダン帝国に世界の主要国の半数が敵に回った事を知らせる内容だった。
《1948年 8月 15日 帝国の西方の街、メリエ》
メリエ、それはウェダン帝国の西方に位置する言わずと知れた大きな商業都市であり、多くの商店が建ち並んでいる。
元々ウェダン帝国というのは多民族、多文化共生を掲げており、ウェダン人もいれば敵国として対立しているライダル合衆国の人間もいる。
様々な国の文化を積極的に取り入れた帝国は今となってはありとあらゆる民族と文化が入り交じった国となった。
その多民族、多文化は勿論、メリエも例外では無い。
ライダル合衆国の名物であるハンバーガーを売っている飲食店の中に一人ハンバーガーを頬張る男がいた。
「うまっ」
ハンバーガーを舌に触れさせては「うまっ」と呟き、時々砂糖多めのコーヒーを啜る。
バンズに挟まれたハンバーグとベーコンの肉汁のジューシーさ、レタスのシャキシャキ感、こんな美味な食べ物を食べては「うまっ」と呟きざるをえないだろう。
この国に生まれて良かったと心底思いながら完食するとカウンターで代金を支払い、店を後にした。
彼の名はレオーネン・ケリース。
帝国空軍帝国飛行艦隊所属であり、階級は大尉。
特徴は貴族っぽい口髭位しかないただのオッサンだ。
周りからは貴族の人間と間違われるが、実際は一般家庭で育ってきた一人の一般人に過ぎない。
それにレオーネンは貴族が嫌いである。
別に格差に対する嫌悪ではなく、最近空軍に入ってくる貴族の奴らが気に食わないだけである。
その貴族の新人パイロット達は皆美形のイケメンばかりで大した戦果も挙げてねえ癖に女にキャーキャー言われている。
お陰で休暇中に街を出歩くと運が悪いのか必ず2人か1人は女連れてるイケメンパイロットと出くわしてしまうのだった。
レオーネンの思った通り店を出ると通りに女を連れた一目見て貴族だと分かる若いイケメンパイロットが視界に入った。
階級章を横目でチラリと見ると案の定、伍長。
下士官学校で一体何をやってたんだアイツは。
「チッ、全く、いつから誇り高き帝国空軍は女たらしの集まりになったんだ……?」
あからさまに舌打ちをして此方に気付かないイケメンパイロット共の背中を睨み付けるとズカズカと大きく足音を立てて去って行った。
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敵と本格的に交戦状態に入った帝国は制空権の確保の為に空軍を動かす事にした。
それと同時期に過去の戦闘で大損害を被った第28戦隊のパイロットの補充が行われ、レオーネンはその飛行隊が最前線に出る事もあって腕が買われて帝国飛行艦隊から引き抜かれる事となった。
正直、"あの事"のせいで前線で戦うのは嫌だったが、エースパイロットであり、且つネームドの自分があんな危なっかしそうな新米共が前線に行く中ぬくぬくと暮らすのも嫌だったので第28戦隊の副隊長として空を飛ぶ覚悟を決めた。
彼の名はレオーネン・ケリース。
帝国空軍の大尉であり、嘗てのライダル合衆国との戦争を生き抜いてきたエースパイロットであり、実際に交戦したライダル空軍パイロット達と仲間達からある2つ名で呼ばれていた。
『デッドアイ』
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