　「人生は死への前奏曲」――この人生観に沿って、この交響詩は描かれました。

　つまりこの前奏曲（プレリュード）には、リストにとっての人生そのものが込められているのです。

　それが決して悲観的な意味でないことは、この曲を聴けば分かると思います。

　その、何と豊かで、荘厳で、深みのあることか。

　時に美しく、時に穏やかに、時に激しく、時に華やかに……。

　私はいつも、思い出や人生について、思いを馳せずにはいられません。

　いえ——ただただ、綺麗だなあ、と聴いて頂ければそれできっと充分です。

　ただ聞き流す、それだけでも素晴らしい価値があるような、そんな麗しい音楽なので。

　では、耳を澄まして……。

　最初の、静かな「ド」のピチカートは、心臓の鼓動。命の音。

　そうして、人生を歩んで——

　最後は明るく「ド」の音で終わります。

　命への──人生への、讃歌のような。

　死ぬ前にこんな風に人生を振り返ることができるよう、私もこの前奏曲（じんせい）を精一杯生きたいものです。

　参考

　リスト「レ・プレリュード」

　https://m.youtube.com/watch?v=zDEem_aEttE

　オマケ

　「ハンガリー狂詩曲第2番」

　一言：愉快なピアノ独奏曲。なおリストはピアノの奇才。

　https://m.youtube.com/watch?v=LdH1hSWGFGU

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