特徴的な文体のせいで、なんだが群馬県の桐生の話のはずなのに現代の日本の話じゃない雰囲気がありました。多分、この話が異国の昔話みたいな雰囲気があるのはこの作者の文体のせい……舞台が群馬だからとかそんなのは関係ない……はず。そうですよね?八木節祭りとか桐生とか、どこか聞いたことがあった固有名詞が出てきてそれをうまく話に利用して面白かったです。
うまい!台詞回しはクセがあって、正直なところ最初は読みにくいです。ただ、読み進めていくと、独特のリズムがクセになってきます。クセがあるのを理由に読まず嫌いでいるのはもったいない小説です。一見ふざけて書いているように見えるのは、作者の韜晦です。その実、とてもしっかりした文章です。ぜひ、最後まで読んでみてください。