ちゅーざいさん!

@GHOSTEYE

第1話 「田舎の」駐在所へ

「神野巡査、3月29日付けをもって、星滝村駐在所への勤務を命ずる」


警察学校を卒業してから、振り出し署である陽岳警察署で5年が経ったころ、俺は内勤(警察で言う刑事さん等の仕事)の試験に合格し今回の異動で刑事になれると思っていたが、まさかの人事異動であった

理由なんて分からない、文句を言ったところで何も変わらないのが警察人事というものだが、こんなのは懲罰人事みたいなものだから愚直に働いていた俺からしたら難癖つけたくもなる、副署長からは「まっ、悪い方向に考えないで、いつも通りの君の仕事をしたらええ」なんて言われた。

異動発表の後、ひたすら課内の上司先輩、はたまた後輩にまでイジられ、見送られたのである。


「神野くん〜いい加減機嫌直したら?星滝村もそんなに悪いとこじゃないよ?」

3月29日、今日が異動日である俺は本署のある陽岳(ひたか)市内から、上司である佐々木健警部補運転で勤務地である「田舎の」駐在所へ向かっている。

「そんな事言われても係長、5年も市内で勤務してるのに、急にこんな人事出されたらそりゃ腹立ちますよ!なんか悪いことしましたか!?愚直に勤務してきましたよ!」

「そりゃ、君は私の部下の中でも優秀やな〜成績だって地域課内でも上位やね。まぁこれも勉強やし、この村はいい所やからさ〜」

「…まさか係長があることないこと身上に書いたんとちゃいますよね?」

「そんな人聞きの悪いこといいなや〜俺が君のこと悪く書いたら、課長から殺されてまうわ」

クックックと押し殺したような笑い方をするせいで余計に怪しく見えるが、「まもなく目的地です」という機械音声のせいで話を打ち切られ、係長の顔から視線を前に戻す…やっぱりド田舎やん。




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