イフ ~私が『嫌い』を嫌う理由~
まきや
i
私は最初、誰ひとり嫌いじゃなかった。
私が巨大な
理由は簡単で、私の体に
やがて私の心の中に、ポツポツと『
発生
弱い
信号は自分の中に沸きあがって、持ち主に気づきを与える為だけに存在していた。だから本人が反応すれば、役割を果たし消えていく。
その存在意義は、ずるずると
だからそんな感情をいくつ拾い上げたとしても、総意としての私に何の影響があろうか?
時は経ち、私の
そいつらは、一人ひとりが原始的で乱暴で、お世辞にも美しいとか可愛いとかの形容はできない、醜い生き物だった。
これまでも似たような生き物は生まれてきた。
けれど彼らがどれとも異なるのは、放つ感情の
この強さで成長を続ければ、いずれ私の『感情』に影響を与えるだろう。その事は容易に想像できた。
しかしまだ、無視できる範囲だ。とりあえず私はこの黒く汚い者たちに、定かでない者という意味の『イフ』という名を授け、このまま観察を続けることにした。
イフたちの『嫌い』の特徴をひとつ上げるとすれば、その感情の方向が極端に他の生き物に対して向けられている、という点だ。
これまで私が養ってきた者たちは、生き残る為にしか『嫌い』を使わなかった。
「嫌いな相手に反応しなければ、食べられてしまう」
「
そんな具体的な目的の為のセンサーやバリアのような用途だった。
原始の生物たちの生き方は、本当に単純で美しいものだ。敵に襲われ、全力で逃げて、最後に食べられる段階になったとしても、喰らいつく相手を嫌いになれない程、優しさにあふれていた。
それなのにイフたちときたら――彼らは自分が満足する為なら何にでも『嫌う』を使った。
奪うために
何という短絡的な発想をする生き物だろうか。
こんな醜く黒い
どうせイフのような生物は、時と共に
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