鏡
涙もろいとは自覚している。
感情移入もするタイプだ。
だけど、違う。
私はその人のために悲しみや喜びを抱くことはない。
それでも泣いてしまう。
旦那を失った未亡人に対して。彼女の悲しみに、喪失感に。
そしてあの人が死んだのだと感じると、妙な感覚がした。
本当に死ぬなんて考えもしなかったし、そんな予感も全くしなかった。
思って、本当に泣きそうになった。
泣きたくなくて、こらえた。
だけど、違うのだと私は思う。
あの人の死に感慨は浮かぶ。だけど、悲しみはなかった。なにもなかった。
それでも意味もなく泣いてしまう。
涙が出てしまう。
いうなれば私は目の前の人の感情を映し出す、鏡のような存在だった。
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