雪とスキー
やけに寒いと思ったら、雪が降っていた。
このような天候になるのは、久しぶりな気がする。
雪といえば思い出すのは、スキーだ。私の住んでいる地域は、標高が高い。雪国に属するか属さないかといったところだろうか。
もっとも、本物の雪国と比べると、過ごしやすくはある。ストーブとこたつが五月まで必要になるくらいのこと。
学校では当然のように、スキーが授業に組み込まれる。大会も開かれる。
だけど、今の今まで忘れていた。スキーをしなくなって、何年だろうか。下手をすると、十年近い。
今となっては、スキーなんてやりたくはない。実際にやってみると楽しくはある。だけど、純粋に怖いのだ。あの斜面を猛スピードで滑り落ちる。いつ転ぶか分からなくて、ひやひやする。
それに、寒いのは嫌いだ。手足が痛くなるのはあまり好きではない。
スキー場なんて、近くにあるだけで、行きたいときに行けるものでもなかった。だから、大会までの自主練習は全くしなかった。
それでも一度だけ、学年で十位以内の成績を出したことはある。そのとき、私はスキー板もストックも、靴も新調した。以来、年度が変わるたびに、装備を新しくしていた。
もっとも、それは一瞬の輝き。以降の成績は芳しくはない。
現在に至っては、頭にスキーという情報が浮かぶことすら、なかった。
確かに大切な思い出にはあたる。ほかの行事でいうなら、体育祭。一人一人が滑り、タイムを競う。昼食はカレー。それが終われば自由に滑空。それは祭りのような面白さはあった。
しかし、所詮は過去の話。
近年は積雪量も減ってきた。昔は崖になるほど積もっていたというのに、今はすぐに溶けてしまう。
スキー大会の日がとうの昔の過ぎ去っていたことも、今思い出す始末。
それはきっと、寂しいことなのだろう。だけど、やっぱり私は寒いのは嫌だ。雪は好きだけど、冬は苦手。
だから、それを思い出さない時間はきっと、幸せなのだと思う。
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