色ペン

 小学生のころ、私は筆入れにたくさんのペンを詰め込んでいた。文房具店やホームセンターなどに寄っては、いい色のものが売ってないか、チェックする。一本ずつ見て回って、買っていく。

 ペンは増えて、箱の中はカラフルになっていった。


 今思うと、ペンなんて黒・赤・青だけで、事足りる。ピンク、黄色、黄緑、オレンジ――多すぎる。使いみちなんて、ほとんどない。要するに、無駄な買い物ばかりを繰り返していた。


 所詮は安物。一本、一〇〇円以内で買えてしまうものを、コレクターする価値もない。

 それでもあのころの私にとっては、色ペンは宝石のようなものだった。

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