泣いた赤鬼、たぶん、泣くのはこれが最後。

無敵之人

プロローグ 


【魔人は、その力に責任を持ち生きよ。人は、魔人と調和せよ。】

 昔は、そういう約束だった。誰が言いだしたわけでなく。魔人の方が少し強いからそうやってみんな生きていた。

 魔族だって、多少の遠慮はしながらも仲良く暮らしていた。

「ありがとう、助かった」

 魔族だったから、魔人みたいにとはいかなかったけど道に迷った人を助けてはそういわれることを楽しみにしていた。

 興味を持ってくれる子供ともよく遊んだ。


 いつのまにか変わった。気が付かなかった。

 いつのまにか、その約束は殺伐としたものになっていつの間にか、わたしたちは悪役にされていた。だから願った。赤鬼の笑顔を守りたい。人が好きな赤鬼には、人と一緒にいてほしい。

 赤鬼と青鬼は分かたれて、世界はどんどん怖くなった。


【魔人または魔族は、その籍と証明を群に登録せよ。

 群は魔人を管理せよ。】


「魔族を殺せ、魔族は滅べ」

「魔人も滅びろ、化け物め」

「そうだ、魔人はいなくなれ」

「魔人がいるからいけない」


 どうしたらよかったのかな。

 また昔みたいになりたいな。また昔みたいに。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る