サラリーマンJob→城主Job

当事案。320万両強奪事件の発端の噺と、大発端の噺、

そして、私が法に取り憑依かれ始めたころの噺がある。


時間軸に沿って、手短にいこう。


まずは、大発端の噺。

刻は戦國。数十年前――


会社勤サラリーマンジョブだった祖父は、

一國一城のあるじに成りたかった。


アホの他人風情から馬鹿みたいにアレコレあごで指図されっぱなしの

奉公ジョブ人生から開放され、自由に羽ばたきたい。

自分の可能性を試したい。


金員カネを掻き集め、横濱でみせを始めた。

が、結局…… 城にゃ姉妹弟争いきょうだいゲンカの火種だけが残った。


母は、城の手伝いを条件ひきかえに洋裁学校へ通っていたが、

母の母親(私の祖母)が脳卒中に倒れ。

介護しながら城を手伝っているうちに

ファッションデザイナージョブへの夢はついえた。


祖父城主は息子可愛さで、私の叔父に横濱城を継がせよーとし。

商才無き叔父なりに試行錯誤してみたが、売れない商品を仕入れ続け

カサ増し借金だけが増えていった。


で 叔父、夜逃げ。


事前相談無く、両親を捨て、城も捨て逃げ、勝手に遁走した弟(私の叔父)に対し、母は縁を斬り。

介護せず、城も手伝わずの姉(私の伯母)とも縁を斬った。

こうして姉妹弟は、皆、バラバラに空中分解していった。


やがて、城主は煙管タバコが原因で肺癌ダメージ受け絶命、

口から血を噴き出して悶絶死。

祖母姫は天命全うし、ゆるやかに寿命死。

下等貧民だったので、延命も、生き返らせる事も出来なかった。


2人両親祭祀さいし呪文スキルを継承いだ母は、

同時に喪主スキルも得て、喪主ジョブと成り、葬儀を取り仕切って

2人を弔った。


直後。伯母が、

私の祖父祖母が残した金銀財宝財産金員ゴールドマネーを

奪い盗りに、平塚城から攻め込んで来た。

脱獄した叔父も同盟味方に曳き込んでの参上見参。


「数千万両の遺産と 金員産み出す 金成る城の権利

 三等分して アタシにも寄越せ!」


伯母は、城に一切絡んでないので何も理解わかっちゃいなかった。

眼球メダマヒン剥き飛びデル、赤字経営城。

知らず空虚な皮算用。


なんせ、夜逃げして跳び出す脱國者が出る程、首が廻らない城だ。

抜け忍や脱藩浪人を追いかけ廻し、背中斬り捨て、斬首して、

河原で晒し首にする余裕すら無い。


そもそも城は…… 祖父の財産持ち物ではない。

領國主の王から借りてる城で、祖父はテナント店子たなこ城主に過ぎなかった。


城内敷地も、城壁も、物見櫓も、天守閣も。独自祖父の財産ではない。

所有者は誰か?

外から視えないよーになっていて、マイナスしかない負債城であった。

祖父の見栄もあったのかもしれない。


更に、城を畳むにゃ。

全品在庫処分しても、残る借金と撤去費用。

合算あわせて600万両もの超時空☆超絶大枚大金が必要であった。


そんな金、何処ドコにあんの?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る