伝説の少女
勝利だギューちゃん
第1話
今から、30年ほど前の事。
昭和から平成に変わった、その時代・・・
俺の住むN県に、アイドル的存在の女の子がいた。
今でいう、一種の地下アイドルか・・・
そういう表記が正しい。
親父に訊いた。
「俺もファンだったよ。とても、忙しかったようだ」
俺はにわかには、信じられなかった。
親父は嘘をつくような男ではない。
でも、信憑性に欠ける部分が多い。
俺はそのアイドルは、親父の嫁、
つまり、お袋とも考えた。
しかし、お袋は親父よりも、10歳も年下で、職場結婚。
時代があわない。
そんなに有名なら、一度会ってみたい。
俺は、タイムマシンをレンタルし、30年前へと行ってみる事にした。
そのアイドルさんをみるために・・・
そのアイドルは、親父の同級生だったらしい。
なら、親父の母校に行ってみよう。
そうして、その高校へと行った。
親父の母校は、俺と同じ。
つまり、親父は俺の先輩にもなる。
同じ時間帯に、同じ人間がで会うのはまずい。
親父は、高校時代の卒業間際に、1日だけ休んだと訊いたことがる。
その日に、行ってみる事にした。
その日がこの日、1989年2月9日だ。
漫画の神様の手塚治虫先生が逝去した日で、ショックだったと親父は言ってたが・・・
で、その高校だが・・・
「古臭い」
それが、第一印象だった。
さすがに老朽化したのか、今は近代的になっているが・・・
制服も違っていた。
ブレザーなのは同じだが、とても地味だ。
この学生たちも、俺の時代では、おっさん、おばはんになっている。
そう考えると、人生は短い。
さてと、探してみるか・・・
この時代には、スマホなどない。
なので、スケジュールの管理は、アナログになるが・・・
あれ?
1人の女生徒の前に、人だかりが出来ている。
一列に並んでいるな。
もしかして、あの人かな?
その列には、男子生徒だけでなく、女子生徒もいる。
男女問わず、人気があったようだ。
でも正直、可愛いとは思わないが、笑顔が素敵だ。
そこが、好かれていたのか?
「よっ」
後ろから、声をかけられる。
「どうした?私服で、忘れものか?」
この男の人は、見覚えがあるな・・・
親父のアルバムで見たことがある。
そうだ・・・山下さんだ・・・
俺の時代では、家業を継いでいるみたいだが・・・
「あの子と、お話したのか?」
あの子とは、あの女生徒の事だろう。
「まっ、がんばれよ」
そう言って、去って行った・・・
親父と間違えて俺に声をかけると言う事は、あの列には親父はいない。
当たり前だが・・・
詳しく探ろうと思ったが、関わらない方が得策。
俺は、帰る事にした。
「柊くん」
後ろから、声をかけれた。
そこのは、あの女生徒がいた。
俺はあたふたした。
「いや、正確には柊くんの、息子さんだよね。お父さんは元気?」
「なぜ、それを?」
「だって・・・」
「だって?」
「私も、この時代から来た未来人だもん。」
「ということは?」
その女性とは頷いた。
「あなたのお父さんがアイドルと言っている女子の娘だよ」
「えっ、でも、どうしてここに?」
「あなたと同じだよ。」
「同じ」
「うん」
笑顔で、微笑んだ。
「私のお母さんは、あなたのお父さんの事ばかり話してた。
でも、私たちの時間からみた5年前に、死んだの・・・」
「えっ?」
「もともと体が丈夫じゃかなったのね。」
それは、訊いていたが・・・
「でも、どうして俺・・・いや、僕が同じ時代の人間だと?」
「それだよ。そのTシャツのキャラ」
「これ?」
「うん。この時代には、まだないもん。私たちの時代では、人気だよね」
そんなんで、わかるんかい。
「私はお母さんと瓜二つだったので、紛れ込んでみたんだ。
でも、だれも、わからなかったね」
「君のお母さんは、アイドルだったんだよね」
「大袈裟だよ。ただ、交友関係は広かったみたいだけどね」
「そうなんだ・・・」
「そういう意味では、アイドルだったかもね」
親父は、美化していたのか・・・
「私のお母さんは、学校を休んでいたけど、この日だけは覚えていたみたい。
だから、この日に来たんだ」
「そうか・・・」
「ねえ、」
「何?」
「せっかくだから、この時代を探索しようか?」
「でも・・・」
「平気だよ。調べはついている。この時代は、まだ遊園地はあるね。
そこへ行こう」
こうして、連れまわされたが、親父がこの子のお母さんに、
惚れていたのが、わかった気がした。
こうして、1989年2月9日の日を満喫した。
「じゃあ、これで・・・」
「うん。もし縁があったら、元の時代で会いましょう」
そして、元の時代に戻った。
あの子の名前や、住所を訊くのを忘れたが、まあいいだろう・・・
次の日、自宅の固定電話が、鳴った・・・
伝説の少女 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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