風車

風車が回っている。

夏祭りの、風に揺られて。

私の手にあるそれに、何度か息を吹きかける。

不思議と、さっきのようには回らない。

「どうしてかな」

そうつぶやくと、隣にいる彼が言った。

「優しさが足りないからじゃないかな」

彼の手を、もう一つの手で強くつねる。

「なによ、その言い草」

「ごめんごめん。でも、たぶん本当のことだよ」

すると、彼がふうと息を吹きかけた。

「ほらね」

そう言って、少し得意げだ。

風車は、まだ回っている。

少し膨らませた頬が、そういうことなのかなと思わせている。

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