レール

廃線のレールの上を、歩いている。

ところどころで鳴いている蝉が、レールに共鳴して震えていた。

「もう帰りたいよぉ」

ずっと後ろにいるあなたが、そう言った。

私は立ち止まって、振り返る。

「あなたが来たいって言ったんでしょ」

「それはそうだけどさぁ」

がっくりとうなだれるあなたが、なんだかおかしくて笑った。

久しぶりのデート。

晴れ渡る空は、どこまでも続いている気がする。

両手を広げて胸いっぱいに空気を吸い込むと、夏という季節が駆け巡った。

そして、息を吐き切ると、一陣の風が汗をさらった。

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