突然だが、自己満でロマン兵器について解説してみようと思う〜紅茶でも飲みながらフィッシュチップス感覚でお読みください〜
えるでぃあん
ファイルNo1.紅茶紳士の嗜み(?)、パンジャンドラム
さてさて、ここに集まってくれた紅茶紳士淑女諸君。こんなマニアックすぎる場所にやってきてくれて感謝の念が絶えない。興奮のあまり今すぐにでも君たちの家にグランドスラムを落としたいほどだよ、まったく。
さてさて、紅茶を嗜みながら解説する映えある第一回目は……いや、うむ。題名に書いている通り『パンジャンドラム』だ。
……ん?あぁ、もちろんわかっているとも。こいつはあまりにもポピュラーすぎる。はっきり言ってこれを紹介している動画やら書物は山のようにあるのだ。個人的にもこれを書くよりも他の迷走兵器…‥V3ことムカデ砲や、ドイツのツヴィリングシリーズ、その他諸々を書いても別に文句はない。だが……やはり英国紳士たるもの、パンジャンドラムは一度でも紹介すべきだと思っている。だから、解説する。まぁ……ロマン兵器解説の入門編と言ってくれて構わない。
それじゃ……禁断のパン(ジャン)ドラ(ム)の箱、開けよっか。
*注意。この解説は珍兵器ばかり読み漁ってきた変態がおおよそ自分勝手な独断と偏見と妄想で解説をする、おそらくはアフガン以上に危険な地域です。中の人が何を言おうが鵜呑みにせず、詳細は自分で確認することを強く推奨します。あ、それと中の人はこの類に関しては初心者です。至らない点もあると思いますが、そんな時はV2ロケット〜メッセージを添えて〜を送りつけてやってください。
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時は1940年台、
対して『ヨーロッパに大帝国作って世界首都ゲルマニア作ろうぜ!!』と言い出した(?)ヒトラー率いるナチス第三帝国くんと、実はヘタリアじゃないイタリアくん、そして『日独防共(共は共産主義という意味)協定結んだよやったね!!……んぇドイツソ連と不可侵条約結んだんだけどどうなってんの』状態と化した大日本帝国くん(なお大日本帝国くんの出番はこれだけの模様。かなしいね)計3カ国(実際は他にもルーマニアくんとか白い悪魔の生誕地がいる模様)枢軸国。
それからいきなり2年やら3年やらが経過。『ポーランド食ってフランスも食って……バトル・オブ・ブリテイン*じゃ散々負けたし……そうだ!(東に目を向け)お前、いっぱい領土持ってんなぁん!?東方生存圏拡大しましょうね!』と言うことで無茶振りな独ソ戦が、『バルバロッサ作戦』を火蓋に切って下された(多分ヒトラーのせい)。ナチスドイツ第三帝国くんは、東部戦線で熱烈な歓迎をしてくれる傾斜装甲の塊T-34シリーズと、動くコンクリートの塊(大嘘……だけど実際に試作された模様)ではなく、装甲の塊ことKV-1により、38tくんや三号くんで対抗できない状況に陥ります。そして冬将軍到来までに何としてもモスクワを陥落させようとしたら気づけば劣勢になり始める(これは大体イタリアのせい。ってか国内防衛優先の装備で侵略しようとするムッソリーニの行動が無茶)1943年9月3日。ついに今回の主役が……産声をあげました。
そうです。パンジャンドラムです。
いやちょっと待て。開発までの過程どうなってるんだよお前説明しろと言う諸君、落ち着いてほしい。
まず開発経緯に関してだが、『ドイツ弱体化してるみたいなんだけどさぁ……うん!?(ヨーロッパ西海岸沿いに建設される通称『大西洋の壁』を見て)あれ……ヤバない?ねぇねぇヤバない?』と言うことで、分厚いコンクリートぶち破り上陸するために英国海軍の多種兵器研究開発部(DMWD)に所属するグッディーブ少佐とシュート中尉(この時40代ではあったが、志願して技術将校として活動していた模様。彼はSF小説の名作『渚にて』の作者でもある。どうなってるんだこれ)は、フィッシュチップス片手に『大西洋の壁』を打破する兵器を考案する。
浜辺にはここぞとばかりに地雷原が敷き詰められ、海岸線には渋谷よろしく立ち並ぶ大量のコンクリート製要塞もどき。こんな状況下で兵士を投入したらそりゃもちろん大惨事間違いなしである。試算では1tほどの爆薬があれば『大西洋の壁』をぶち破ることができると考えられていたらしいが、それほどの量の爆薬を海岸線で使用したら爆発で上陸する側も上陸される側もドミノよろしくバッタバッタとなぎ倒されることは確実。かと言ってトールボーイやらグランドスラムやらを投下するわけにもいかない。
そこで、悪魔の発想が生まれる。それこそが……ボビンの先祖(大嘘)、パンジャンドラムだった。
このボビン状の物体は1.8tという規格外な量の爆薬を搭載し、推進用の18基にも及ぶ火薬ロケットを用い高速で移動、『大西洋の壁』をどっかーん!(擬音語)しようという『普通に2000ポンド爆弾の雨振らせればいいじゃんなんでそんな珍兵器作っちゃうの』などと言った
18世紀の戯曲に登場する火薬を仕込んだ靴で飛行すると言うこちらも英国面漂う魔法使いの名から名付けられたこの『パンジャンドラム』は時を戻し1943年9月3日、遂に民衆の行楽地であるウェスト・ワード・ホーに姿を現した!!
この実験は大成功で終わり、民衆は歓声をあげて『これで戦争も終わる!』と泣き叫んだと言う。この『パンジャンドラム』はあの有名な『ノルマンディー上陸作戦』で実戦投入され、先駆けてナチスドイツ第三帝国くんのトーチカその他諸々を攻撃。多大な戦果を挙げたことは様々な書物にも書いてあることである。
この
この『パンジャンドラム』は第二次大戦終結後、世界の軍事的常識を変えた。世界中から戦車が消え、代わりに『パンジャンドラム』が台頭したのだ。そして社会主義国圏ソ連と資本主義国圏アメリカとの『中に積む爆薬は核物質か高性能爆薬か』で冷戦が勃発。世界を二分するほどまでの力を、このパンジャンドラムは持っていたのである。
つまりこの
だ が 歴 史 は そ う 都 合 よ く は 動 か な い 。
結局、この『パンジャンドラム』が実戦に投入されることは一度もなかった。それはなぜか?
まず、構造自体に無理があったのだ。パンジャンドラムが投入される予定だったのは
……考えるまでもないだろう。この『パンジャンドラム』を『大西洋の壁』に向けて射ち放ち、数十メートル前進した瞬間横転、もしくは……進路を変更し、こちら側に突っ込んでくる可能性を大いに持っていた。実際、これのテスト試験の視察で紅茶をキメた海軍のお偉いさん向けてこれが突っ込んできたと言うのは、有名な話だ(この映像は今でも大英帝国博物館でも見ることが可能)。
これを試作したシュート中尉はワイヤーで制御できるようにしたり、ロケットを増やしたりと試行錯誤を積み重ねたようだが……結局、完成には至らなかった。
だが……実のところ、そもそもこの『パンジャンドラム』。ノルマンディー上陸作戦の一環、フォーティ・テュード作戦の一環として、守りの厚いパ=ド=カレー沿岸に連合国が上陸すると思い込ませるためのものであったとの示唆がある。
つまりは……この『パンジャンドラム』が実戦に投入されないことは決定事項であったとも言えよう。なんと悲しいのだ、パンジャンドラムくん。せめて実戦投入くらいはして欲しかったものだ。
こうして実戦投入すらされず試作段階で終わったこのパンジャンドラムくん。まさかこれを開発したシュート中尉やグッディーブ少佐、英国海軍の多種兵器研究開発部(DMWD)は、数十年経った今この兵器が”珍兵器”と呼ばれ、国境を超え様々な人々により愛されて(?)いるとは、思いもしないことだろう。
……んぁ、そうそう。今回は作者の独断で選んだけど別にリクエストとかあってもかまわんぞい。できそうなら解説、やってみりゅ。
*バトル・オブ・ブリテイン:ドイツ対イギリスの大空戦……?当時ほとんど完成に近い状態であるのにも関わらず艤装工事が完了していないグラーフ・ツェッペリン以外ろくな艦載機運用能力を持つ艦が存在しなかったドイツ(こらそこのお前、晴嵐輸出しようぜとか瑞雲あげようぜとか零式水上観測機を売ってやろうぜとか言わない)は、アシカ作戦の一環として制空権確保のためドーバー海峡を横断してイギリスを爆撃を開始する。
……が。一撃離脱主体の陸地での戦闘を想定し運用するはずで、もともと航続距離の短いBf109やFw190、航続距離はあっても明らかにスピットファイア相手には空戦性能その他諸々で無力なBf110を爆撃機の護衛に使った結果、物の見事に完敗した模様。そりゃイギリス上空で数分しか戦えないんじゃ……ね?
更に言うと空戦性能・速度性能で優れたスピットファイア相手に一撃離脱だいしゅきのBf109を空戦で戦わせたり序盤じゃ航空基地叩いてたのに後半から市街地ばっか爆撃するようになるんじゃもう……ね?
と、いうことでナチスドイツ第三帝国は『制空権の確保』と言う目的を達成しきれず800機以上の航空機を失いアシカ作戦もその後中止、さらに二正面作戦を行なったせいでナチスドイツ第三帝国くんは無事敗北しましたとさ。
参考:世界の珍兵器コレクション(宝島社)
—完—
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