第154話 罠の定義


 皆との食事を終えた俺は一人、ダンジョンの最下層にある自室に籠もっていた。



 新しく手に入ったレシピをゆっくりと確認する為だ。



 なにしろ六人全員から★が飛び出したのだ。

 それでレベルが上がらない訳がない。



 というわけで実際はこんな感じになってた。



[ステータス]

 レベル:12  ★:1825

 HP:5451/5451

 MP:4203/4203

 攻撃力:811   防御力:781

 素早さ:592   魔力:767

 運:752

 特殊スキル:飢狼罰殺牙グラトニーハウンド(Lv.27) 炎獄砲牙ヘルフレイムカノン(Lv.36)




 きっちりレベルアップ。



 俺は早速、レシピのウインドウを開き、内容を確認することにした。




[合成レシピ(罠・兵器)]


・鉄鉱石×5 + トゲ罠×1 + バネ罠×1 = トラバサミ×5 NEW!


・鉄鉱石×10 + コロッケパン×1 = 箱罠×1 NEW!


・鉄鉱石×1 + 歯車×1 + バネ罠×1 + ガブリ草の蔦×3 = くくり罠×5 NEW!


・鉄鉱石×1 + バネ罠×1 + 木板×1 = バネ式ネズミ捕り NEW!


草牛ムートリ骨スープ×1 + 調味塩×1 + サクミ大根×1 + オバケ魚揚げ×3 + 鬼こんにゃく×1 = 熱々おでん×1 NEW!




[合成レシピ(料理)]


・オバケ魚×1 + 鬼サルマ芋×5 + 油×1 = オバケ魚揚げ×30 NEW!


・鬼サルマ芋×1 + 石灰石×1 = 鬼こんにゃく×5 NEW!




 罠を中心に結構たくさん来た。



 鉄鉱石を使うものが多いみたいだけど、岩塩を取りに行った際にそれもたくさん採れたから丁度良い。



 だが、この罠、ざっと見た感じ……何かがおかしい気がするぞ……。



 そう、〝熱々おでん〟だ。



 おでんといえば明らかに料理だが……それが何故、罠に分類されてる!?



 意味が分からない。

 でも、この意味の分からなさ、いつもの事だと思えばそうなんだけど……。



 ともかく、順番に詳細を見て行くか。



 まずはトラバサミか。

 これは罠の定番だな。



 獲物が罠を踏むと勢い良く出てきたハサミに脚を挟まれるってやつ。

 狐とか野生動物が挟まれてるところの写真とか見たことがある。




[トラバサミ]

 バネ仕掛けによる挟み込み方式の狩猟罠。

 獲物の通り道や、草むらの中など目立たぬ場所に設置する。

 掛かったが最後、強力な歯によって骨になるまで喰らい尽くされる。

 なので仕掛けた場所を忘れないように注意してね!




 なんか、俺の知ってるトラバサミと違う!



 目標を捕らえるんじゃなくて喰らい尽くすとか……。

 ピラニアとかワニのレベルじゃねえか!



 寧ろ、どうやって喰うのか少し興味が沸いちゃったよ。



 まあ、いいや……次行こ。




[箱罠]

 鉄製の檻の中に餌を吊し、獲物を誘き寄せて捕らえる罠。

 檻はとても頑丈に出来ており、全ての物理攻撃、魔法攻撃を無効化。

 内側からでは何者も脱出不可能で設置者のみが解錠出来る。

 コロッケパンおいしいよ。




 最後になんで個人的な感想言った!?



 その名の通り、俺が良く知っている箱罠と構造は同じようだ。

 猪とか熊とか捕獲するアレね。



 ただ、その檻が尋常じゃ無い堅牢さのようだ。

 これならどんな強力な勇者でも捕獲されたら何も出来ない。



 しかし、餌がコロッケパンって……確かにアレは旨いけどさ。

 動物ならまだしも、そんなあからさまに吊してある餌に引っかかる勇者、いるのかなあ……?



 さて、次は。




[くくり罠]

 地面設置型の縄罠。スイッチを踏むことで獲物の脚を縄でくくり、捕縛。そのまま滑車とバネの力で上方へと吊す。

 滑車は屋内の天井、木の枝などあらゆる場所に設置可能。

 尚、吊された獲物は丸裸にされちゃうよ。うふっ(ハート)




「……」



 吊すのはいい。

 だが、なんで裸にした!?



 そこに何の意味があるというのだろうか?

 考えられる可能性としては羞恥心で戦闘不能にするとか?



 でも、自分の命が掛かってる時にそんなこと気にしてる場合じゃないしなー。

 うむ……良く分からない。



 次行こ、次。




[バネ式ネズミ捕り]

 板の上に穴がたくさん空いたチーズを置こう。ネズミがそれを食べに来るとバッチーンと挟まれるよ。

 おっちょこちょい猫と賢いネズミの追いかけっこのようにならないよう注意。

 ちなみに穴の空いたチーズはエメンタールチーズと言うよ。




 チーズの知識が増えた。



 って、そうじゃない。

 これ、ただのネズミ捕りじゃん。

 対勇者用にどうやって使うっていうんだ?



 いつものことだから普通とは違う使い方が隠されていそうな気もするけど……。

 今の所はなんだか分からない。



 まさか猫とネズミの追いかけっこがヒント?



 さて、次は問題のおでんだが……。




[熱々おでん]

 煮えたぎる熱々のおでん鍋。

「どうぞ、どうぞ」と勧められると断れない強制力が働く。

 具材は煉獄の炎に等しい熱さで、スープはマグマと同等の温度を持つ。

 具材の表面に触れたり、スープの飛沫を浴びただけで、あらゆる生物は骨まで溶け、死に至るでしょう。

 特製、燃えない菜箸付き。




「……」



 おでん……怖っ!


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