第3話 私の為なので
私はヨハネス様を引き連れ新天地、ジュリ教の神殿に参りますの。
ここがヨハネス様と私の愛の巣。
ジュリ教は婚姻を禁止しておりませんからヨハネス様はこれで私のモノですわね!?
ああ、輝かしい未来が見えますわ!!
「ジェーリンさん、落ち着いてください。その、腕を組まれますと・・・」
うふふっ、そうでしょう、そうでしょう、私の豊満な胸が当たりますものね。
いいのですのよ、我慢なさらず、そのまま今晩私をヨハネス様のものにしても。
既に私の頭の中では人生設計の立て直しがされてますの。
子供はそうね、三人は欲しいかしら?男の子に女の子、教会の宿舎ですがつつましく暮らすのもやぶさかではありませんわ、だってこんな素敵な旦那様が一緒なのですもの!
もしかしたらもっと子供を作ってしまうかも!?
まあ、いやだ、私ったらはしたない。
バラ色の妄想をしていますとお城のすぐ横にありますジュリ教の神殿が見えてまいりますわ。
ああ、ここが私の第二の人生の舞台なのね。
うふ、早速今晩からヨハネス様を私のモノにいたしますわよ!!
私は上機嫌で教会の扉を開けますの。
さあ、ここから始まる私の物語!!
ばんっ!
勢いよく教会の扉を開きますの!
「ヨハネス神父、何処へ行っていたのですか?探しましたよ。」
「あ、神父様お帰りなさいまし。」
「もう、神父様ったら私を置いてどこか行ってしまうんですものぉ!」
「おかえりー神父様!」
「あら、そちらの方は?」
えっ?
な、なに?
なんなんですのこの女たちは!!?
全員美女でしかも私に負けず劣らぬそのスタイルは!?
教会には五人もの美女がそろっていますの!
しかもその中には司祭様の衣服を召された方までいらっしゃる!?
「すみませんね、皆さん。大臣から急な呼び出しがありまして、先ほどは司祭様が不在でしたので私がご用件を聞きに行っていたのですよ。」
司祭姿の金髪碧眼の胸の大きな女性は
「ヨハネス神父、私は浴あみしていたのですよ、そしてあなたの部屋で待っていたというのに。」
と言い、メイド姿の赤毛で豊満さを感じさせる胸の大きな女性は
「神父様、私もお料理作って待っておりました。」
などとヨハネス様の気を引こうとしますわ!
そして茶髪のおっとりいた感じの胸の大きな女性は甘えたような声で
「神父さまぁ、いきなり居なくなってしまうんですものぉ、さみしいわぁ。」
と私のヨハネス様に近づき、見た感じこの中では一番若そうな青い髪のやはり胸の大きな女性は
「神父様、お掃除も終わったよ、次は何すればいいの?子作り、子作り??」
私のヨハネス様に対して知性の欠片もないような事を言い、大人しそうな顔をした黒髪の胸の大きな女性まで
「神父様、お忙しいのはわかりますがお出かけの際にはせめてひとこと言ってほしいですわ。」
とヨハネス様をすでに自分のモノにでもしたような言い草!!
な、何という事でしょう!?
この雌猫ども、私のヨハネス様にあからさまなアプローチをしてくるとは!!
「皆さん落ち着いてください、それより紹介いたします、こちらはジェリーン嬢、訳有って今後こちらの教会で一緒に暮らす方です。」
ヨハネス様、もっと言ってやってくださいましな!
ヨハネス様の伴侶となる私の事を!
そうだ、この際はっきりとさせてあげますわ!
私は自ら名乗りを上げて私がヨハネス様の妻となることを教えてさしあげましょう!
「皆様ごきげんよう、私はジェリー・・・」
「神父様、また変なの拾って来たのですか?」
「そうですよ、ヨハネス神父。犬猫ならまだしもこのような得体の知れないモノを連れ帰るとは。」
「餌を与えるのも一苦労ですわよぉ?」
「もう一回捨ててくる?捨ててくる??」
「そうですねこれ以上はここも狭くなってしまいますからね。」
な、なんですってぇ!!
どういう事でしょうこの泥棒猫ども!!
失礼にもほどが有りますわ!
私がその辺の犬猫扱いですの!?
ぶ、侮辱ですわ!!
怒りに私が何か言おうとするとヨハネス様が割って入りますの!?
「まあまあ、皆さんそんなに邪険にしないでくださいよ、これからみんなで暮らしていかなければならないのですから。」
え?
みんなですの??
この泥棒猫どもも一緒ですのぉ???
「ヨハネス様、それは一体どういう事ですの!?ヨハネス様は私と一緒にいてくださるっておっしゃいましたわよね!!?」
「勿論、私は皆さんと一緒におりますよ、安心してくださいジェリーンさん、みんな一緒ですから!」
がーん!!
何という事でしょうかしら!?
みんな一緒??
まさかヨハネス様はハーレムをご所望なのかしら?
いえいえそんなはずはありませんわ!
お優しいヨハネス様だからきっとどうにしようもないこんなあばずれたちを面倒見ているのですわ、きっと!!
さすが私が一目ぼれした男性、懐が深いですわ!!
私はヨハネス様を見ますの。
何度見てもいい男ですわ。
「そうするとまた邪魔者が増えると言う事ですわね、ヨハネス神父。全くあなたと言う人は全然私の気持ちを理解してくれない。」
「仕方あれませんね。ヨハネス神父様がお決めになったことでは。」
「ヨハネス神父様ぁ、そんなのほっといてこちらへ来てくださいぃ。」
「うーん、これ名前つけて犬小屋でいいかな、いいかな?」
「仕方ありませんがこのケバケバしいのは何とかしてください。ここは神殿なのですから。」
私がもう一度ヨハネス様に惚れ直している間になんて無粋な連中なのでしょう!?
良いですわ、それでは私も引き下がらず相手して差し上げましょうではないですか!!
「先ほどから黙って聞いていれば、ずいぶんな事を言ってくださいますわね!?私はジェリーン=ベスボンですわ!ヨハネス神父様の妻となる者ですわ!!」
ヨハネス様の腕を取り宣言いたしますの!
とたんに黄色い声で悲鳴を上げる女たち!!
ふん、いい気味ですわ!
所詮はあなたたちはヨハネス様のご慈悲でここにいるだけですわ!
私のように優しく、紳士的にヨハネス様に「私のもとへおいでください」なんて素敵な言葉かけられていませんでしょうに!!
「ヨハネス神父はこの私ユミルと共にジュリ様のずっとお使いすると約束したのですよ!!夫婦になって!!」
「何を言います、『ずっと私のご飯と作ってくれませんか?』と言ってくださったプロポーズ、フェルはヨハネス神父様だからお受けしたのです!」
「何なのです?『私には癒しが必要だ、ともにジュリ様のお声を聴き導かれましょう』と言ってくださった、私フィジーにこそヨハネス様はともにあるべきなのよぉ?」
「メルはヨハネス神父様が大好きだよ?おいでって言ってくれたんだもん、ずっと一緒にいるよヨハネス神父様!!」
「全く、どなたも騒々しいですね。ヨハネス神父様のご厚意に甘えるのもほどほどにしてください。ヨハネス神父様、約束通り私テルモがお仕えします。どうぞ私を自由にしてください、今夜にでも!!」
何なんですの!?
ヨハネス様はそのような軽はずみの事をおっしゃるはずがございませんわ!!
私はヨハネス様を見ますの。
するとヨハネス様は困り顔でこうおっしゃいますの!!
「困りましたねぇ。皆さんはとても魅力的な女性だ。しかし私は女神ジュリ様に生涯この身を捧げお使いすると誓った身、この身は既にジュリ様の物となっているのですよ。」
なっ!?
なんて信仰が深いお方なのかしら!!
流石私の一目ぼれした殿方!
普通の者に出来ないことを言い切る、そこにあこがれ、痺れますわぁ!!
しかしジュリ様は婚姻を許されております。
たとえその身がジュリ様に捧げられても私の身をヨハネス神父様に捧げる事は一向にかまいませんのよ!?
「ヨハネス様、私ジェリーンはこの身をヨハネス様に捧げる覚悟が出来てましてよ!」
「なんですって!?何を言い出すの新参者!?司祭である私なんか遠の昔にジュリ様にこの身を捧げてます!ヨハネス神父と同じなのです!ですからヨハネス神父、私たち二人でベッドでゆっくりとお話しましょう?」
「仕えるのならこのフェルは既にヨハネス神父様にお仕えすると決めた身、ヨハネス神父様どうぞお好きに私の体をお使いください!!」
「みんな落ち着いてぇ、ヨハネス神父様はお疲れですわよぉ?ヨハネス神父様、私が癒してあげますからどうぞこちらへ。」
「えええ~ヨハネス神父様にはあたしがいるからみんなはいいよ、そのままジュリ様に仕えて。ヨハネス神父にはあたしが仕えるから!!」
「どうも皆さんヨハネス神父様のお考えが分かっていないようですね?ともにジュリ様に静かにお仕えしたいというヨハネス神父様のお考えが分からないようですね?ヨハネス神父様、私が一緒にジュリ様にお仕えいたします。」
くっ!
この雌猫ども何を言っているのですの!!?
この私がいれば十分ですわ!!!
「これは困りましたねぇ。そうだ、それでは誰が一番私と共に女神ジュリ様にお仕えするのが良いのか競争です。ジュリ様の為に徳を積んだ方となら私も一緒にいられると思いますから。」
そのお言葉に私たちは色めき立ちますの!
そう、ここははっきりとするべきですわ!
誰がヨハネス神父様にふさわしいのかを!!
私は私の為に精一杯ヨハネス様、いえ、ジュリ様にお仕えして見せますわ!!!
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