4【冷たい君】

 




「どうしたの? 深刻な顔して」


「……突然、別れたいなんて言うからさ。君は冷酷で冷淡だ」


「冷酷で冷淡ですって? この私が?」


「ぁぁ」


「どんなふうに、冷酷で冷淡なのかしら?」


「例えば、冷凍食品のようにさ」


「……冷凍食品ですって?」


「ぁぁ」


「して、そのこころは?」


「俺という、冷蔵庫がなければ、君はすぐに解けて、駄目になってしまう。そんなこと分かってるくせに、俺から逃れようとする」


「……よく分からないけど、彼が待ってるの。行くわね」


「君は冷たいから魅力的なんだ。解凍した君なんて食べたくない」


「大丈夫よ、彼に食べてもらうから」


「そいつのとこに着く頃には、君はブニャ~となって、味も落ちてマズくなってるさ」


「大丈夫よ。彼、鍋好きだから、ブニャ~の私を煮て、おいしく食べてくれるわ。それじゃ、さよなら~」


「……行かないで――







 ――カナダ産サーモンちゃん」






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