ネクストジェネレーション

A・本郷 雄

第1話 発露なるままに、、、

 まえがき


親愛なる君へ


 もし、この手紙が君に届いているという事は、間に合わなかったのだろうか?もう、遅すぎるだろうか?いやまだ一途の希望を持っていたい。だが我々人類は、自らの文明によって今、消滅しようとしている事だろう。これらは、空想の産物ではない。事実なのだ。どこから狂いだしたのだろうか?何時だろうか?私利私欲に駆られ、走り出したのはいつだろうか?幸福を追い求めた結果なのだろうか?今、人類の本質が問われているのである。生き残るか?消滅するのか?存亡の瀬戸際であるはずだ。たった数万年の溜まりに溜まった代償を今、喉元に突き付けられている気分だろう。私は想う。存続し、同じ過ちを繰り返すならいっその事、人類の絶滅を望む。これは、私の本心だ。見たくもない光景がそこかしこに点在する。道路脇の散らばったゴミ溜まりが可愛く見える程、野山は朽ち果て、近づく事さえ許されない変わり果てた大河。廃墟と瓦礫に埋もれた大都市。地球と言う星が生まれたのが約四十六億年前になり、生命が誕生した。人類が約八百万年前に誕生し、今まさに滅ぼうとしている。誕生から滅亡まで瞬き一回分の刹那で今、終わりを告げようとしている。

 だが私は願いたい。多様性に富んだ星を再び取り戻したい。人類ならば出来るはずだ。持続可能な循環を。過去の過ちは繰り返さないだろう。文明と共に歩めるだろう。いや、「だろう」ではなく歩まなくてはならないのだ。いま、踏み留まらなければ我々人類に未来(あす)はない。例え生息出来る惑星が他に有った所で、同じ過ちを繰り返しては地球の二の舞である事は明白である。私たちは決断すべきである。過去の過ちから学び、価値ある明日(みらい)を掴み取るために。私たちは行動に移すべきである。全ての生命体が共生出来る循環を。

 私は確信を抱いている。共に分かち合えることを。共に次の世代へと受け継がれることを。誰一人として取り残されてはならない事を。そんな願いを込めて、筆を置く。

 

                          2××9年05月25日

                               A・本郷 雄

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