第4話 第二スキルツリー!?

 

 というわけで、俺のスキル配分はこうなった。



  「生命力」

    【体力】90 (MAX100)

    【自然回復力】10 (MAX10)

    【属性耐性】

      【火耐性】10 (MAX10)

      【風耐性】10 (MAX10)

       【土耐性】10 (MAX10)

       【水耐性】10 (MAX10)

       【雷耐性】10 (MAX10)

 「魔力」

    【魔力量】90 (MAX100)

    【魔法疲労回復】10 (MAX10)

    【元素適性】

     【火】0 (MAX10)

     【風】0 (MAX10)

     【土】0 (MAX10)

     【水】0 (MAX10)

     【雷】0 (MAX10)

 「筋力」

    【筋力量】90 (MAX100)

    【武技】0 (MAX10)

    【武装付加値】

     【剣一般】10 (MAX10)

     【大剣】0 (MAX10)

     【小剣】1 (MAX10)

     【槍】0 (MAX10)

     【斧】0 (MAX10)

     【弓】1 (MAX10)

     【メイス】2 (MAX10)

     【投擲】1 (MAX10)

     【盾】2 (MAX10)

 「敏捷性」

  【回避力】

     【跳躍力】10 (MAX10)

     【瞬発力】10 (MAX10)

     【柔軟性】10 (MAX10)

     【身体操作】10 (MAX10)

 「精神力」

  【信仰】 

    【異端の神々ジ・ヘレティックス 】10 (MAX10)

     【悪魔調教】 

      【石版使役】3 (MAX3)

    【魅力】6 (MAX10)

    【全般魔法抵抗】10 (MAX10)

 「身体感覚」

       【感覚】

         【視覚】9 (MAX10)

          【聴覚】9 (MAX10)

         【嗅覚】9 (MAX10)

         【味覚】2 (MAX10)

         【触覚】3 (MAX10)

  【知性】

    【総合知性】71 (MAX100)

     【言語知性】

        【言語理解】4 (MAX10)

        【言語出力】4 (MAX10)

    【記憶力】5 (MAX10)



「お……おおぉ……!」


 最初に訪れた変化は、五感だった。


 視野がぐんと清明になり、空間を漂うチリまでを同定できるようになる。

 風が葉をつけぬ木々の梢を鳴らす音が楽器のように演奏され、大小さまざまに重なり合って聞こえている。


 魔界の木々の、古びたような香りが急に強く感じられる。

 今まではなんとも思わなかったのに。

 これらは遮断しようと思えばできるようで、常日頃からニオイや音に鋭敏すぎて苦しむということはなさそうだ。


 もちろんそれだけでは終わらない。


「すごいな……」


 拳を握りしめる。

 力がみなぎる感がハンパない。

 筋力? ……いや、これはもしかして魔力か。


 体もなんだか軽い。


「どれどれ……あだっ」


 軽く跳躍してみたつもりなのに、3メートルほど上にあった木の枝に頭を打ち、枝を折ってしまった。


 流血しかねない衝撃だったが、しばらくすると痛みが消失する。

【自然回復力】を上げた効果かもしれない。


「すごい……」


 そんなふうに嬉々としていると、アクティブスキルのパレードが来た。


 《〈回復魔法ヒールLv3〉、〈回復魔法ヒールLv4〉、〈回復魔法ヒールLv5〉を覚えました》


 《〈領域回復魔法エリアヒールLv1〉、〈領域回復魔法エリアヒールLv2〉を覚えました》


 《〈疾病退散Lv1〉、〈疾病退散Lv2〉、〈疾病退散Lv3〉を覚えました》


 《〈状態異常回復キュア・ステートLv2〉、〈状態異常回復キュア・ステートLv3〉を覚えました》


 《〈幽々たる結界Lv2〉、〈幽々たる結界Lv3〉を覚えました》


 《〈条件つき喪失部位回復〉を覚えました》


 《【闇の掌打Lv2】、【闇の掌打Lv3】、【闇の掌打Lv4】、【闇の掌打Lv5】を覚えました》


 《【悪魔の付与Lv1】、【悪魔の付与Lv2】を覚えました》


 《【妖魔退散Lv2】を覚えました》


 《【アイテムボックス拡張Lv3】を覚えました》


 《【アイテムボックス内時間遅延Lv2】、【アイテムボックス内時間遅延Lv3】を覚えました》


「おお、いろいろ来たな」


【闇の掌打】は、近接した相手に魔力撃を加える僧侶プリースト系魔法だ。

 もちろん主神の従者たちは【聖なる掌打】という名前だろうが。


 詠唱が短く、とっさの場面でも使いやすいのが利点だ。

 が、今成長した魔力で放つと、相手を粉々にしてしまうかも。


【悪魔の付与】は石板使役している悪魔から加護を受けられるようになるらしい。

 これは案外に頼もしい能力かも。


【妖魔退散】は格下の敵を追い払う魔法だ。

 無駄な戦闘を避けたい時など、使い勝手はいいだろうな。


回復魔法ヒールも伸びたし、楽しくなりそうだ」


 勇者パーティを組んだ当時は聖女ミエルの〈回復魔法ヒールLv3〉が羨ましくてしょうがなかったなぁ。

 〈領域回復魔法エリアヒール〉があれば、あの時きっと楽だったろうなぁ。


 などと、考えていた折。


 《スキルツリーのコンプリート条件が満たされました。異端の神々ジ・ヘレティックスの〈僧戦士クルセイダー〉から〈深淵の破戒僧アポステートオブジアビス〉への転職が可能です。転職しますか》


「なんだこりゃ」


 脳内にアナウンスが流れていた。


 転職?

 そんな単語、聞いたことがないぞ。

 この世界にそんなルールがあるのか?


 《転職しますか》


 いや、誰も知らないだけかもしれない。

 そもそもスキルツリーをこんなに埋めたのは俺が初めてなのかも。


 アナウンスはスキルツリーのコンプリート条件と言った。

 ならきっと悪い方向には変化しないのでは……。


 呆然とする俺の脳内に、再びアナウンスが流れる。


 《さっさと決めなさいよ。あと5秒》


「はぁ!? ……て、転職する、します!」


 なんで急かすんだ、こいつ。

 しかも素で話しかけてきた。


 くそ、いろいろ考える前に決めちゃったじゃないか。


 《なおこの転職は破戒行為となります》


「決めた後にさらりと付け加えてんじゃねえよ!」


 サイテーだこいつ。

 なお、とか言えばいいと思いやがって。


 しかも何事もなかったかのように丁寧語に戻ってるとか。


 《うっさいわね! 破戒僧って言ってんだから考えればわかるでしょ》


「むぐっ……」


 破戒とは、僧として掟を破る行為を為すということである。

 これにより、教会からは追い出される覚悟をしなければならない。


 いやまぁ司祭まで上がったし、教会自体にはあまり未練はないけどさ。

 勝手にやめたわねっ、と怒られそうな人がいなくもない。


 まぁ成り行きだ。

 仕方がないで済まそう。


 あぁそうだ、いまさらだが俺は日本からこの異世界に転移してきたクチだ。

 まぁ一言で済ませられないほどいろいろあったけど、機会があれば話そうかな。


 《なお、さっきまでのスキルツリーには二度とアクセスできなくなりました》


「だから後付けしてんじゃねぇ! あんた絶対それ知らなかっただろ!?」


 つーか、ポイント残しておいたのに、どうすんだよ。

 意味なくなっちまったじゃないか。


 《い、いちいちうっさいって言ってんでしょ! 言うの忘れてたのよ》


 だいたいお前誰なんだよ……。


 あーあ、これなら【魅力】とか【元素適性】とか手に入れておくんだった。

 しかしそんな心配は杞憂であったことを、後の俺は知る。


 《〈深淵の破戒僧アポステートオブジアビス〉への転職が完了したわ。後で代わりのスキルツリーを送っとくから》


「なぬ」


 代わりのスキルツリー?



 ◇◇◇



「しかし、破戒僧とは」


 魔界の帰り道をとぼとぼと歩きながら、呟く。


 なんか悪そうな職業になった。

 職業聞かれても言いづらいぞ、これ。


 転職したからといって、なにかが変わって感じられるということはなかった。


 しばらく待ってもスキルツリーが来ないので、寝て待つことにする。

 回廊の死闘の間はあんま寝れなかったしな。


 野営をし、桃で腹を満たし、毛布にくるまって横になる。

 魔王を倒し、悪魔はこのあたりをうろつかなくなったが、一応結界型のアイテムを展開しておこう。

 余ってるしな。


 ……………。

 …………。

 ………。


「ふぁ……」


 目覚めたとたん、魔界カラスの鳴き声や木の香りが感覚を強く刺激した。

 あ、スキル伸ばしたんだったな、と気づく。


【身体感覚】はこの異世界に降り立ってからずっと変えていなかったので、変わるとすごく新鮮だ。


「あーどんだけ寝てたかわからん。ふあぁぁ」


 俺はぐーと伸びをしながら、おおきな欠伸をした。


 節々のこわばり方が半端ではない。

 これはもしかしたら丸一日、いや2日くらい寝たかも。


「さてと」


 俺は手持ちの水を取り出して身なりを整えた後、さっそくスキル部分を確認してみる。

 すると、新しいツリーが届いていた。


 あの声の奴、案外ちゃんと仕事したな。


 俺はその新しいスキルツリーを開いてみる。


「どれどれ……うおぁ!?」


 目にした途端、叫んでいた。

 そのままぺたん、と座り込む。


 ナニコレ……。


 いや、説明するよか見てもらった方が早い。

 これが二枚目のスキルツリーだ。


 まず「生命力」。



  【生命力】

     【身体強化(壱)】 1ポイントアンロック

     【身体強化(弐)】 2ポイントアンロック

     【身体強化(参)】 3ポイントアンロック



「……変わってる」


 前の【体力】とかの項目が無くなってしまっている。

 90までしか上げられなかったけれど、まあこれは仕方ないか。


「○ポイントアンロック」と書かれているところは、スキルポイントを使ってアンロックさせるということだ。

 さらなるツリー分岐が隠されていて、もっと強化できる可能性があるということ。


「一番上だけアンロックしてみよう」


 26スキルポイントを残していたので、1ポイントを使って【身体強化(壱)】をアンロックしてみる。

 

 《【身体強化(壱)】をアンロックしました》

 

【生命力】

  【身体強化(壱)】 1ポイントアンロック

     【筋力+10%】0 (MAX1)

     【生命力+10%】0 (MAX1)

     【敏捷+10%】0 (MAX1)

     【魔力+10%】0 (MAX1)

     【防御力+10%】0 (MAX1)

     【盾防御+10%】0 (MAX1)

  【身体強化(弐)】 2ポイントアンロック

  【身体強化(参)】 3ポイントアンロック

 

「うへ」


 これは暴挙とも言える羅列だった。

 たった1のスキルポイントでステータスの一つを10%上げられるのだ。


 さすが第二ツリーと言ったところか。



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