君の物語
貴花
第1話 プロローグ
過去というの美化される、とよく聞くが実際のところどうなのだろうか。
確かにあの頃は良かった、なんて思う事が人生の中で何度もあるかもしれない。
けれどそれには一つの共通点が存在する。
自分にとって良かったと思えるような過去という点だ。
これを聞いたらそれはそうだろう、と思うだろう。
なんせ過去を美化出来るぐらいには自分にとって大切な思い出なんだから、と。
では過去の象徴とは何だろう?
人によってこれもまた様々だと思うが、僕にとって過去の象徴とは学校だろう。
小学校では無邪気に何も知らず人との繋がりを覚える。
中学校では、人の悪意を知り、常識を学び、視野を広げる。
高校では、青春に終わりを告げ、自分という存在を過去に置いていき未来へと一歩を踏み出す。
まぁ、何が言いたいかと言うと。
自分が自分たらしめる理由ってのはきっと置いてきた過去にあるんじゃないかって事だ。
だからこうして振り返る。
過去は死者で未来は生者だ。
死者に意味を与えるのはいつだって生者の役割なのだから、こうして思い出したって構わないだろう。
あんな青春を過ごしたが、きっとそれに意味はあったんだってそう思いたい。
思い返せばきっと辛い記憶ばっかりかもしれない、もしかしたら楽しい事なんて一つもない事だってありえる。
けれどそれを無意味になんて価値を失うような真似だけはしたくないのだ。
この世に無意味なんて事はない。
きっと、全てには意味があるのだ。
例えそれがとても小さな理由であれ、意味を見出さなくては人間はやっていけないのだから。
それじゃあ振り返ろう。
置いてきた物を拾いに行こう。
誰にも止める権利はない。
辛ければいつだって止めたって良い。
だってこれは、君の物語なのだから。
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