幸せでした

來住 偲

幸せだったんだ

「ねえねえ、隣にいてね」

久貝深桜クガイ ミオウ

「うん......」

葉須星哉ハ ス  セイヤ

これは平凡な恋人のお話である

俺たちは

皆で居るときと

二人で居るときの

対応が違う二人ナンバーワンだ

皆で居ると

お互い悪口言っているが

二人で居るときは

抱きしめ合って、寝たり

だけど付き合ってるけど

俺等は

スキだよとかは言わなかった

けどそれが

平凡だったんだ

平和だったんだ

幸せだったんだ




なのに、死というのは

突然で



二人で、歩いているとき

深桜が急に

視界から消えた

交差点だった

(ドンッ)という

鈍い音と叫び声がまだ頭の中には残っている

頭から血を流し倒れる彼女

俺は、なにもできなかった

周りにいる人が救急車を呼んでくれて

泣き叫ぶ俺と、意識不明の君を

連れて病院へ行く

彼女は手術室へはこばれた

俺は泣くしかできなかったんだ

そんななか、彼女の母親が来てくれた

「星哉くん、大丈夫?」

母親の由喜さんも目の周りを赤くして

駆け寄ってくれた。

俺が、もっと周りを見れてれば

深桜を守れたのに...

自分の娘が、、轢かれたというのに

あなたはどうしてそこまで

優しくしてくれるんですか

申し訳ないような

嬉しいような

償いきれない気持ちが

あふれ出した

俺は謝りながら泣きじゃくった

「ごめ..ん....なさッい......」

夜、、七時だった

俺の泣き声は静かに廊下に木霊していく

俺はずっと泣いていたが

「深桜のかわりに...俺が!轢かれッれば..」

この言葉を放った瞬間

由喜さんが俺のことを叩いた

「深桜は絶対貴方のことを恨んではいない

 むしろ深桜は私でよかったと思ってるはずよ

 それを君が、無駄にしてはいけない

 今は、深桜が無事であることを祈りましょう」

この人は、、なんて優しいのだろうか

俺はこの言葉を聞いた瞬間寝てしまった

次に起きたのは

夜、九時半。

約二時間半の手術だった。

医者が出てきた時に俺は起きて、

医者に由喜さんが泣きついているのが見えた。

俺の目も直ぐに覚めた

「深桜は!?」

医者は、

ふと俯き.....


この行動で俺は察してしまったんだ


深桜が助からなかったことを


「最善は尽くしましたが....」


由喜さんと俺は、ものすごく泣きじゃくり

その晩一日中泣いた

その時

俺は思い出に浸っていた





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