第14話 冒険者大会
ズドン!
そんな鈍い音がなり、ジンは男に横になぎ払いをした。
トレントは変形しており、剣の形をしている。
「うぅ………」
ジンが横になぎ払いをしたので、当たった側の男はうぅと唸って、気絶した。3人いたはずの1人は、簡単に倒すことができた。
あっさり倒してしまったので、ジンはさっきの親友を斬られた恨みはどこかへ消えた。
「あと2……人……あれ」
そう。ジンが見た光景は、なぎ払いをした前方。そこに広がっていたのは、会場半壊、観客は口をぽっかり、周りの剣と剣のぶつかり合いはすでになく、シーンとした雰囲気が漂っていた。
「あれ、もしかしてもなく、俺?」
その声に周りの冒険者は我に返ったらしく、「降参だな」や、「やめだやめ、無理だあんなの」など、皆どんどん降参していった。
「し、Cブロック試合終了!!!!!予選突破おめでとう!!!!」
実況者も我に返ったらしく、実況をした。なんと、決勝に行けるらしい。
それに、決勝まで、飛んでいいらしく、あと1回の試合で1回勝てば、賞金がもらえるらしい。でも、勝たなければ賞金無しだとさ。
さ、ローチェのところに戻ろう。
俺、やらかした?
♢
「ただいま、ローチェ」
「…ん、あれやり過ぎ…ダメ」
観客席で観戦していたローチェは最初にそんなことを言ってきた。
でも、必死に、剣を横になぎ払いをしただけ。そう!ジンはしただけなのだ。(思い込み)
「それが俺も、なんでどうしてこうなったかわからないんだよ」
なぎ払いで、会場半壊。笑えねー。弁償とかないよな?きっとないよな?
後になってジンはオドオドし出す。
ローチェは小さなため息をして、ジンに告げた。
「…ジンは、魔力斬を放ってた」
「魔力斬?なにそれ?」
となりの椅子に座り、真剣な顔になり、固唾を呑んだ。
そして、ローチェもそれにつられて、固唾を呑んだ。
「……ジン。よく聞いて。絶対に、悪用しないこと。…誓って?」
「は、はい」
少し顔を傾けて、上目遣い。そのことに、少し感情が揺れたがすぐに真剣になる。
そして、心で誓った。「悪用禁止」と
「…絶対、悪用しない。わかった?……それで本題。さっきの魔力斬。あれ、残り物。本気でやると、1割の魔力で国滅ぶ。…わかった?」
「……さっぱり分からん」
そりゃ信じられないのだろう。ローチェの口から、「あれは残りカスだ」と言っているのだから。そう、怒った拍子に漏れてしまった魔力で、あの威力。馬鹿げている。
そのことをジンは理解できない。
お、お、お、俺もしかしてもしないで歩く破壊兵器!?
1割の魔力で国破壊!?
もう。なにそれ。
「……わかった。簡単に言うと……使い過ぎ禁止」
「お、おお。使い過ぎはダメってことだな」
「…ん」
あ、そんな簡単なことでいいのね。
♢
もう決勝戦もすぐである
さっき、準決勝が終わり、次は決勝戦だからだ。
「いやー、すごかったな」
「ん、みんな魔力量多い。でもジンには負けてる」
今は休憩時間らしい。準決勝で勝った人が不利にならないように的な配慮らしい。
魔力はしっかり全回復。それに、気分もいい。
なぜなら、会場が綺麗に治っているからだ。
理由は、この学校の校長が、土魔法の使いらしく、すぐに直してくれたからだ。
それに怒られたりしなかった。なぜなら、Aランク〜Cランクの試合では、会場が壊れるのが普通だったからだ。特にAランク。あれはやばかった。
特に準決勝。
片方が、初手で大魔法、【ヘルフレア】を撃って、会場の一部がガラス化してるところもあるほどだった。
あー、今でもあの光景を思い出す。すごかった。
「…ジン。多分決勝で勝つ。だから奢って?」
「勝つって言ってもまだ分からないだろう?」
当たり前のようにそう答えた。それでもローチェは真剣な顔で、それでいて上目遣いで、おねだりしてきた。
「……絶対勝つ。だから奢って」
「わーったよ。でも勝ったらな」
ま、賞金がもらえればよし。もらえなかったら、「勝ったらな」って言ったじゃないか。といえばいっか。
そんなことを思いながらさっきアナウンスで召集がかかったので会場に向かった。
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