没原稿の供養塔
星 太一
LIAR編
没原稿だけど、中々テンポが良い
☆『LIAR』を非公開にする前の第八話の一部。
千恵がLIARと出会った時の事ですが、深夜眠たい時に書いたこともあり、ノリが完全にド☆フターズ。……いや、それは本家様に失礼か。
そんな没原稿。
「あ、貴方を探していました。『姿無き殺人』の容疑者は貴方だと、私は――いえ、犯罪予備防止委員会は睨んでいます」
「……」
「まずは貴方の主張を聞かせて頂きたいです。貴方はあの殺人についてどう思いますか?」
そこまで一通りまくし立てて、千恵は目をつむった。
理由は余り無い。緊張した、が一番近いかもしれない。
「……そうだなぁ。まず一つ」
LIARが喋った。
「……はい」
千恵はドギマギしながら答えを待つ。
「君の質問には思いやりが無い」
「……、……はい?」
「あれ、思いやりって単語知らない? じゃあね、優しさがまるで無い。会話が君の頭の中で完結している。というか説明が分かりにくすぎる。最早説明ですら無い」
「ウッ……!」
――よく時沢先輩に言われる事だ!
「というか『お話伺ってもよろしいですか?』の一言も言えないのかい? 君は。率直的すぎだし、余りに直接的だし、脈絡の欠片も見られない」
「ウッ、ウアア……」
――それも時沢先輩に言われた……ッ!
何だか知らんが段々ムカついてきた。
「本当に社会人か? それでも。全く、いつまでも子どものようだな。成長が感じられない」
「うう……!」
「っていうか『犯罪予備防止委員会』なんてサラリと言ってそのままスルーしたけど一般人がその組織について分かっていると思ってたのか? 普通は誰も知らねえだろ。……まぁ僕は知ってたから良かったかもしれないけど、他の人は絶対『え、からかいですか?』みたいな目であんたを見――ギャン!!」
ゴギャッッ!! と、なんとも痛々しい音がした。
同時に情けない悲鳴も聞こえた。
「あ、すみません、つい!」
「ついじゃねぇ!! 投げるな!! 全く礼儀の『れ』の字も知らねぇ奴だな!!」
「口が悪いですねぇ。これもLIARの生態でしょうか?」
「無視すな!!」
……何というかシリアスな作品である事を忘れそうである。まるでコントだ。息ぴったりである。
「だーかーらー! そういうのは長ーく説明しなくちゃいけないものなの! 事件の概要を分かりやすく説明した上で、自分の意見を伝え、相手の意見を聞く。今回の場合はまず『姿無き殺人』という事件があり、それは犯罪者が一切防犯カメラに映っていない事件なんだと言う事を説明する。そして『私はこれこれこういう理由から貴方が犯人だと思う』と言う旨を伝え、それについてどう考えるのかを聞く! これが筋ってもんだろ!」
「……、……だからそうやってさっきお伝えしましたよね? どう思うんです? LIARさん」
「んわーー!! 腹立つー!! 調子狂うわ、全く!」
……没だ、これ。
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