/2.
「あら、あなた……また、来たの」
そのひとは、夕陽に背を向け、海を眺めて佇んでいた。
傾いた陽の鮮やかな、夕方の砂浜。わたしたちの他には誰もいない、静かな海辺。世界から忘れ去られたかのような、穏やかな海辺。
人はわたしひとりきり。
ほっそりした指。握られた手は、氷よりも冷たい。潮風に、ブロンドの長い髪と羽根のように薄いカーディガンが、柔らかくたなびいている。
その瞳に見つめられると、もう動けない。
――そのひとは、吸血鬼だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます