焼ける空 一
ロー・アトラスの眼下、地表には焼け焦げた大地が広がっていた。
赤土の大森林は消えた。少なくとも、ここより地平の果てまでは。
「この一撃で倒せれば良かったが」
ただ孤島のように、リーシェルト公爵家の
そこから超級の攻撃がロー・アトラスを襲い、その弾幕の中に、黄金の大蛇と蒼い機兵の迫り来る様子が見えた。
「いいだろう。貴様らは俺がこの手で
先の
星の聖女【蛇王角 リクス・リーシェルト】の天顕魔法、【大地皇 ニグナトス】。
ベルパスパ王国市民議会軍大佐【閃光のマックス・パワー】の戦闘装甲ゴーレム、【
強者の中の強者達。
しかし『相手にとって不足なし』となるだろうか?
「
鎚頭が縦に割れ、そこから放出された光が大剣の剣身を形成した。
* * *
『援護を頼む!』
「了解よ!」
『このクソ野郎が!!』
「くふふ」
右の機兵剣と
「ほう?」
『この!』
ロー・アトラスの右脇へ打ち込こもうとした左の機兵剣が黒手に止められた。
「
『ほざけ!!』
爆炎の中から無傷の
「惜しい。もしロー・アトラスでなかったら今ので君の勝利は間違いなかった」
掴まれた箇所から蒼い装甲が黒く変色していき、塵となって崩れていく。
「はあっ!!」
ロー・アトラスの天頂、極大の黄金の魔力を込めた蛇腹太君の
「無駄だ」
大剣が蛇腹太君を弾く。
雲霞の如き黒手の群れが襲い来たが、ニグナトスが放った黄金の炎が三分の一を焼き、残りの勢いを止めた。
「炎神の剣よ 在れ」
リクスの合わせた両手の間から長大な薄い炎の刃が立ち昇る。
ニグナトスがロー・アトラスへと翔け、すれ違いざまにリクスが
「
ロー・アトラスが口から放った炎をニグナトスの尾が弾き、ついで、宙へ放り出された
『すまんリクス、ニグナトス。助かった』
(まずい、わね)
白磁の肌に汗が
―― こいつを倒したけりゃ、最初の一撃に全てを懸けろ。舐めててくれたなら、まあ、いけるかもしれん。
リクスもマックスも最初から全力の攻撃を続けているが、ダメージの通った気配は無かった。
(この化け物が)
超級魔法の連続集中砲火を斬り裂いて、白い巨人が一瞬で距離を詰めて来た。
「蛇腹太君!!」
リクスは愛槍を呼び戻し、その手に握る。
それを見下ろすロー・アトラスの無機質な五つの眼は、斧を振り上げる
「さあ、粛清の時間だ」
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