第80話 洞窟と2層の魔物


◆第2層·····洞窟


「真っ暗だよ!?」


「光魔法を使えばいいだろ·····」


「あ、そっか」


ゲートを抜けた先は、洞窟だった·····

リオが光魔法で、光球を作って辺りを照らした

周りを見渡すと、洞窟は高さと幅が2m程の丸いトンネルのようになっていて、人為的に掘られたような、波模様の壁が続いていた


「こっちにしか進めないみたいだな」


後ろは壁になっていて、前に道が伸びている


「かなり入り組んだ洞窟みてぇだな、行き止まりになっているところばっかりだ」


「マップには祭壇は表示されていないが、洞窟は下に続いているようだな」


マップでは、表示できる範囲に限界があるので、深いところまでは確認できなかったが、横にも下にも洞窟が続いているのがわかる

俺たちは、マップを確認しながら洞窟を進むことにした




「なぁジン、ここの魔物は何なんだろうな?」


洞窟を進んでいると、レンが聞いてきた


「さぁな、洞窟だから、コウモリとかなんじゃないか?」


「試練の前に、魔物が何かぐらい、知っておいた方がいいんじゃねぇか?」


「とか言ってますが、レン様は戦いだけですよね?毎回、各階層で魔物に出会うのを楽しみにしてましたし」


ユダがため息混じりに、レンに言った


「どうせ試練のところまで行ったら戦うんだろ?

今から1匹倒してもいいじゃねぇか!魔物がなにか、気にならないのか?」


気になるか、気にならないかで言うと、俺も気になる


「出さないとは言ってないだろ

それじゃ、瘴気の吸収をやめるぞ」


「待って!魔物を出すなら、広い場所の方いいんじゃない?」


俺が瘴気の吸収を抑える前に、リオに止められた


「そうなんだが、この洞窟には広い場所が無いんだ」


マップには、同じ広さの洞窟が続いているだけで、広い空間は見当たらない


「ダンジョンだから今更だけど、変な洞窟ね·····」


「それじゃ、吸収をやめるぞ」


俺が瘴気の吸収をやめると、空気中の瘴気が濃くなっていく

が、いつもの様に、瘴気が集まっていく気配がない


「出てこねぇぞ?」


「いや、マップを見てみろ!こっちに何か来るぞ!」


マップには魔物のマーカーがすごいスピードでまっすぐ・・・・、こちらに向かってくる

徐々に地響きが近づいてきている


「なんだコイツ!地面の中を進んできてんのか?」


「下から来るぞ!全員、前に跳べ!」


俺達が跳んで回避すると、俺達がいた場所に大きな穴が空いて、魔物が飛び出してきた

魔物はそのまま、天井を掘って行ってしまった


「何、あれ·····」


ミミズ・・・じゃねぇか?」


「デカすぎますよ·····」


「鑑定したが、ワームらしいな」


目の前を通り過ぎる時に、鑑定した


【ミアズマワーム】Lv.65 / Bランク

【スキル】ー



「そもそも、この洞窟を作ったのが、あの魔物みたいだぞ·····」


俺は、今の魔物が進んできた穴を見て言った


「どういう事?」


「穴の大きさが洞窟と同じ大きさだ·····

それに壁の模様も同じだ」


「ホントだな·····ってことはこの洞窟は、あの魔物の巣ってことか·····」


「地中を掘り進む魔物ですか·····」


俺達が話していると、また地響きが近づいてきた

マップで確認すると、こっちに近づいてきているのがわかる


「また来るな·····まずは1箇所に集まって、魔物が来る場所を絞るぞ」


そう言って1箇所に集まって、魔物が来るのを待った



「次は上から来るみたいだな

リオ、雷球を俺達の上に設置してくれ」


「わかった!」


リオが雷球を、天井ギリギリに3つ作り出した


「なんだあれ!リオちゃんの魔法か?」


「説明は後だ!ワームが出てきたら目と耳を塞いで思っきり跳んで回避しろ!来るぞ!」


天井が崩れ始めて、光球でワームの顔が照らされた

大きな口を開けながら、俺達に突っ込んできた

俺達は目と耳を塞いで、前に思っきり跳んだ


雷球が破裂して轟音を響かせる振動が、空気を伝ってくる

俺が振り返って、ワームを確認すると、消滅して行くところだった


「すげぇ魔法だな!どうやって使うんだ?」


「雷の魔法ですか·····僕も興味があります」


レンとユダが目を輝かせて、リオに聞いている


「あの魔法はユニークスキルを使って創り出したものだから、お前達には出来ないぞ!」


「でも、構造を知れば方法がわかるかも知れません!」


ユダがリオに詰め寄って、雷球が完成した時の経緯を確認し始めた


「あぁなると、長いぞ·····俺と出会った時もそうだったからな」


レンが呆れながら言った


「レンは聞かなくてもいいのか?」


「俺はユダが完成させた魔法を見れば、取得出来るからな!どうせ、ユニークはコピー出来ねぇし·····」


「中々、チートだよな 成長促進グロースプロモーションは·····」


「ジンがそれを言うか?

一先ずユダが気が済むまで休憩するかー」


レンは、その場に座って休み始めた


「じゃあ、俺はリオを助けてくるか·····」


リオが助けを求める目でこっちを見ていたので、俺が代わりに説明してやることにした

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