第41話 討伐報酬とクラーケンの魔石
「来るぞ!」
『ザッパーン!』
海面に巨大な触手がうねうねと出てきた
小舟を器用に掴んで粉々にしている
「リオ、頼む!」
「うん!」
リオが手を前に出す姿勢をとる
すると、直径10m程のゲートが出来上がった
「これが限界·····」
「十分だ!少し維持しててくれ!」
そう言って俺は闘気を発動させてクラーケンに向かって飛んでいく
小舟に夢中になっているクラーケンの触手を1本掴み、思っいっきり引っ張りながら、魔力強化<風>の出力を最大にする
「ううぉおおおりゃああああ!」
海中から引きずり出したクラーケンをリオが作ったゲートに投げ入れる
クラーケンはギルドから聞いていた通り胴体だけで体長50m程あったが、縦長なので、10mのゲートでも何とか入ったようだ
ちなみに、ゲートの先はシロがいる異空間だ
「俺達も行くか!」
「ジンくんヤバすぎ·····」
俺達も後を追うように、ゲートに入った
クラーケンを倒す上で1番の問題は海中に引きずり込まれたり、逃げられたりすることだ
だったら逃げ場がない場所に連れていけばいい
「グガァアアアア!」
異空間に入ると、シロの声が聞こえた
「シロが戦ってるな·····」
「あ、ホントだ、いきなり入ってきたから怒ってるみたいだね·····」
シロは
現に今もクラーケンを
シロの能力は俺のコピーだが、刀より爪や牙で戦う方が合っているようで、
「このまま、シロに任せるか·····」
「そだね·····」
俺達はシロとクラーケンの戦いを、椅子に座って観戦した
しばらくして、クラーケンを倒したシロが俺たちに気づいて、近寄っていた
「クゥーン·····」
俺の前に座って甘えるような声を出した·····俺の顔で·····
「飯か?」
アイテムボックスから朝食の残りを出して食わせる
シロは普通に飯を食べる、魔石を取り出せば食わなくても良くなるが、さすがにそれは可哀想なので食わせているが、食べ方が完全に犬だ·····
「シロが言葉を完全に理解できればな·····もう少し人間らしい事を教えれるんだが·····俺の見た目でこんなことをしないでほしい·····」
「獣感がすごいもんね·····」
リオも少し引いている
リオが俺の姿で作ったからこうなっているだが·····
「それはそのうち考えるか!まずはクラーケンを運ぶぞ!」
そう言って、1度アイテムボックスに収納して、ゲートを通って廃棄の小舟が大量にあった場所に移動する
「ここからは引きずってギルドまで持っていくか·····」
俺とリオでクラーケンを引きずりながら町中を移動する
野次馬が集まってきたが、無視して進んでいくと、ギルドの方からララとギルドマスターが走ってきた
野次馬の1人が、ギルドに報告しに行ってくれたらしい
「ほ、本当にクラーケンを討伐してきたのか!?」
「そうだが?とりあえず、ここじゃみんなの邪魔になるだろ、どこに運べばいい?」
「そ、そうだな!とりあえず、ギルドの裏にでも運んでくれ、あそこなら入り切るはずだ」
「わかった」
ギルドの裏にクラーケンを運んだ俺達は、ギルドマスターの部屋に案内された
「改めて、俺がここのギルドマスターのレスターだ!どうやってあの化け物を倒したか聞きたいが·····」
「それは教えられない」
「だろうな·····残念だが、追求はしないでおこう」
「そうしてもらえると助かる」
「こっちが本題だが、これがクラーケンの討伐報酬だ」
テーブルの上に大金貨が5枚置かれた
日本円にして500万円だ
この世界に来て、金銭感覚が狂ってきた
「金貨にすることも出来るが、どっちがいい?」
「1枚だけ金貨にしてくれ、4枚はこのままでいい、それと、討伐したクラーケンは売らずにこちらで処理していいか?」
「あんなバカでかいやつ、ウチのギルドじゃ買い取っても使い道に困るからな、そっちで処分してくれるなら助かるが·····」
「それなら、ギルド裏の広場を使わせてもらっていいか?」
「一体何をする気だ?」
「最高に旨いイカ料理を食わせてやるから、明日の夕方に、町人全員集めといてくれ」
そう言って、俺はクラーケンの元に向かった
「リオ、クラーケンを捌くから手伝ってくれ」
「はーい」
俺とリオでクラーケンの皮を剥いたり、一口サイズにカットしたり、結構骨の折れる作業だった
8割は野次馬に見られないように、アイテムボックスに収納して解体することで楽をしたが·····
「よし!終わったな」
「もう身体中が臭いよ·····」
「旨いイカ料理のためだ、もうひと仕事するぞ」
そう言って、巨大な器を土魔法で作り出して、クラーケンだったものを入れる、そこにエレメンタル<塩>を大量に入れる
リオの
「このまま1晩置いとけば、ぬめりとアンモニア臭はある程度はマシになるだろ」
俺は器に土魔法で蓋をして、ギルドマスターのレスターに一声掛けてから、造船所へ向かった
リオは臭いが限界らしく、風呂に入るために異空間に行った
俺は水魔法で体を流してから風魔法で乾かした
「ティムさんはいるか?魔導船の魔力のことで話があるんだが」
造船所の扉を開けると、人がいたので話しかけると、昼間の男だった
「は、はい!ジンさんですね!こちらへどうぞ!」
緊張気味に俺を案内してくれた
「社長!ジンさんが来られました!」
「あぁ!入ってくれ」
男がドアを開けて、ソファに案内してくれた
「ん?ジンさん、これは何の臭いですか?」
ティムさんが鼻を摘みながら言った
「あぁ、クラーケンの臭いですね、明日、町人全員にイカ料理を振る舞うのでぜひ来てくださいね」
「イカ料理·····?もしかして、クラーケンを討伐したんですか!?今日1日で!?」
「小舟が役立ちましたよ!それで、魔導船の話というのが、魔力の貯蔵にこの魔石は使えませんか?」
俺は袋からクラーケンの魔石を取り出した
体がでかかったので魔石もでかい、直径30cmはある
「こ、これは、まさかクラーケンの魔石ですか!」
「そうです、魔石がデカくて数が少ない方がいいんですよね?」
「はい!小さい魔石を数多く敷き詰めるより、大きな魔石1つの方が魔力の伝導率は良くなりますから!」
「それじゃ、これでお願いしますね」
「はい!お任せ下さい!」
俺はクラーケンの魔石をティムさんに預けて、宿に向かった
やはり、臭いがきついらしく、町人達がすれ違う度に振り向いてくる·····早く風呂に入ろう·····
宿に着いた、俺は自分の部屋で扉型ゲートに魔力を込めて異空間に移動した、丁度、リオが風呂から出て来たところだった
「サッパリしたージンくんおかえり·····臭いよ?」
リオはそう言ってゲートを通って宿の部屋に戻っていた
リオの言葉に軽く傷つきながら、風呂で身体中をキレイに洗った
風呂を出た俺は、また自分の部屋に戻った
「うん、いつものジンくんの匂いだね!」
「俺の匂いを覚えてるのか?犬みたいなやつだな·····」
食堂で食事を済ませて、ベットに入った
「イカ料理ってどんなの作るの?」
明日の料理について考えていると、リオが聞いてきた
「色々考えているんだが、刺身や寿司はアンモニア臭がキツイから難しいだろうな·····焼くか揚げるかすれば臭いも飛ぶからシンプルにフライで行こうかと思っている」
「さしみ?すし?ふらい?どんな料理なの?」
「明日のお楽しみだな、明日は朝から造船所に魔導船の魔力を補充しに行ってくるから、リオはゆっくりしててくれていいぞ」
「ジンくんが作るからきっと美味しい料理なんだろうなー!造船所に行くなら私も行くよ、宿にいててもやることないし」
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