第6話 この世界の知識
「そこまでじゃ!!!」
「 「!?」 」
俺とレクスが声の方を見ると、白髪の老人が立っていた
老人と言っても、筋肉が盛り上がっていて、体つきからは歳を感じない、白髪じゃなければ老人だなんて思われないだろう
「ギルマス!なんで止めるんだ!これからじゃねぇか!」
レクスが老人に向かって叫ぶ
この人が、ここのギルドマスターなのか
「レクス!これは実技試験じゃ!将来有望な若者を潰す気か!」
「あ、悪い·····忘れてた、ハハハ·····」
マジかよ、あれ避けれてなかったらマジでやばかったんじゃ·····
「レクスをそこまでさせるような奴なら、合格で問題ないじゃろ」
「わかったよ·····ジン、また機会があれば続きをやろうぜ!」
そう言ってレクスは闘技場から出ていった
「さぁ、私達も上に戻りましょうか」
受付嬢に言われるがままに闘技場を後にした
こんなに散らかしたままでいいのだろうか·····
「はい、こちらがジンさんのギルドカードです。先程の戦い凄かったですね!Aランクとあそこまで戦えるジンさんなら、すぐにランクが上がっちゃいそうですね!」
さっきの実技試験から、受付嬢がちょっと興奮ぎみだ
受付カウンターに戻ってきた俺は、受付嬢からギルドカードを受け取った
ギルドカードは鉄製で大きくFと書かれており、右下には俺の名前と冒険者ギルド カタク支店と書かれていた
「ありがとう!えっと·····」
「あ、失礼しました。私はエルと申します。改めて、これからもよろしくお願いしますね。」
「エルさん、ありがとう!こちらこそよろしく頼むよ!ちょっと聞きたいことがあるんだけど·····実は少し前の記憶が、ほとんどなくて··········」
俺は記憶喪失ということにして、エルさんにこの世界のことを色々聞いた
まずはこの世界の通貨についてだ
通貨は銅貨、銀貨、金貨、上金貨、白金貨とあり
銅貨100枚=銀貨1枚、銀貨100枚=金貨1枚、金貨10枚=大金貨1枚、大金貨10枚=白金貨1枚となる
物価はその地域で異なるようだが、日本の円の感覚で銅貨1枚10円と言ったところだ
そうなると、それぞれの硬貨は、銅貨1枚10円、銀貨1枚1000円、金貨1枚10万円、大金貨1枚100万円、白金貨1枚1000万円ということか?
そう考えるとホーンラビットの魔石は200円ってことか·····
次に魔物についてだが
魔物にはランクがあり低い順に E , D , C , B , A , S , SSとなる
ホーンラビットが確かEランクだったな
石をぶつけて倒せたから弱いとは思っていたが、最低ランクのようだ
この世界にはドラゴンもいるらしく、ランクで言うと最低Sランクだそうだ
SSランクは災害ランクとされているらしく、見つけたら、撤退命令が出るそうだ
Bランク以上の冒険者に招集がかかり討伐隊が組まれることもあるらしい
次に魔法について
『魔法が使えるのに魔法について分からないなんて·····』とちょっと苦笑されてしまったが、しっかり教えてもらえた
魔法とは 火、水、風、土の4属性がある
それとは異なり、闇と光があるそうだがこの2つを使える者が殆どいないそうだ
まず、魔法自体が生まれながらの才能とされており、訓練のしようがないらしい
まぁ、スキルが見えない人からすればそうなるのは当たり前だ
魔法は使い手によって変わるそうで、皆同じ技を使うわけではないらしい
基本の魔法として、いくつか存在はするが、オリジナルが多いそうだ
また、魔法を使うには魔力をつかうらしい
魔力を使うほどに精神が削れるらしく、俺みたいに多用している人を見たことがないそうだ
そもそも4属性使える人は珍しいらしく、歴代の宮廷魔導師に数名いてたぐらいらしい
最後に冒険者とギルドについて教えてもらった
冒険者とは、魔物を倒し魔物の素材や魔石を提供することで生活している人で、ギルドに所属している人のことを言うそうだ
ギルドに所属せずに、素材の買取もすることが出来るそうだが、価格が2割引になるそうで所属したほうがいいらしい
ちなみに試験前に買い取ってもらった分は、ギルド所属適正価格で買取ってもらえたらしい
また、ギルドに所属し続けるためには一定期間内にギルドからの依頼を達成する必要がある
そしてギルドは、街の人々や国からの要望や依頼をまとめる場所であり、所属している冒険者をサポートしてくれる施設でもある
「·····と、こんな感じでしょうか、今日はもう遅いのでこれぐらいにしておきましょう、またわからないことがあればいつでもギルドに聞きにきてください」
「ありがと!本当に助かったよ、今日は一度休んで明日から依頼を受けることにするよ!
エルさん、本当にありがとう!」
エルさんにお礼を言って、俺はギルドを後にした
外に出ると辺りは暗くなっていた
「あ、宿探さないとな」
そう言って俺は、一先ず門番のカインさんのところに向かった
「遅くなったけどカインさんまだいてるのかな?」
門の近くまでくるとカインさんが外を見ながら立っていた
「カインさん!遅くなりましたー!
ギルドカード発行をしたので持ってきたよ!」
そう言ってギルドカードを見せる
「ん?あぁお前か!遅かったな!あれ?なんで俺の名前知ってるんだ?」
あ、やべ、鑑定で勝手に見たんだった·····
「あ、えーと、ギルドでカインさんのことを聞いたからー·····」
「そうか、確か魔石5個だったな、ほらよ」
「ありがとう!あ、それと1つ聞きたいんだけど、この辺で銀貨3枚程度で泊まれる宿とかないかな?」
魔石を受け取った俺はカインさんに今日泊まる宿を聞くことにした
「それなら、すぐそこにある『狐の尻尾亭』がいいぞ、飯なしで銀貨3枚だ!ゆっくり休める宿だぞ!飯も美味いから金に余裕が出来たら食べてみるといい」
やっぱりカインさんはいい人だ
カインさんにお礼を言って、俺は『狐の尻尾亭』に向かった
歩いて5分もせずに宿に着いた
周りの建物と同じような建物だが看板には『狐の尻尾亭』と書かれている
「町の門からかなり近いんだな、入るか·····」
独り言を言いながら宿の扉を開けた
「いらっしゃいませー!」
入ると少し丸みのあるおばさんが迎えてくれた
「1泊お願いしたいんだけど、部屋は空いてる?」
「1泊だね!大丈夫だよ!ご飯はどうする?この時間でも晩御飯を用意できるよ!晩御飯朝食付きで銀貨6枚だ!」
「ご飯は大丈夫。ご飯無しで銀貨3枚で泊まれるって聞いたんだけど」
「はいよ!それじゃあ1泊1名様ね!鍵の番号の部屋を使ってくれればいいからね!お金は先払いだよ!」
そう言って木の札を渡された
銭湯の靴箱の鍵って言えば伝わるだろうか
「ありがとう、それじゃ銀貨3枚ね」
お金を払って木の札に書いてある番号の部屋に向かう
扉に番号が書いてあったが開け方がわからない·····
扉の横に、札が挿し込めそうな穴が空いていたので、
札を挿してみると、鍵が開いたので中に入った
中はワンルームになっていて、小さなテーブルと椅子があり、奥にベットが置いてあるだけだった
「この世界に風呂ってあるのかな·····」
ベットに倒れ込んだ俺はそう呟くとそのまま意識を手放した
その夜·····冒険者ギルド、ギルドマスターの部屋にて
「どう言うことじゃ!あやつは何者じゃ!」
ギルドマスターであるランディが声を荒らげた
「それが·····記憶喪失だそうで、とりあえず生きていくために冒険者になりに来たそうで·····」
ギルド職員のエルが、わかる範囲で情報を開示した
「ふむ·····あの身のこなし、魔力·····
4属性の魔法が使えるのも嘘じゃなさそうじゃ·····あのような逸材は、今の宮廷魔導士にもおらんじゃろう·····」
「そうですね·····情報の漏洩がないように徹底しておきます」
「うむ、あまり無茶をさせないように頼むぞ·····」
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