第3話 異世界の魔法
俺は森の中を散策していた。
ホーンラビットを見つけたら、石を投げつけて倒していたが、5時間近く歩いて収穫は5匹だけだった。
少しずつ散策範囲も広げていたが、道はみつからなかった……
俺は一度、草原に戻ることにした。
太陽が真上に見える。
「昼過ぎぐらいか?腹減ったな……」
草原に戻ってきた俺は、昼飯を作ることにした。
ちなみに、火魔法が使えたので、散策中に他の魔法は出来ないのかと色々試してみると、火の他に水、風、土が使えた。
各魔法について説明すると
<火魔法>
火の玉を飛ばすことができる。
大きさは小さいもので1cmぐらいで大きくても直径15cmぐらいまで作れた。
小さいものはいくつか同時に出せたが15cmぐらいになると1つが限界だった。
質量で同時に出せる数が変わるようだ。
<土魔法>
土を操作して固めたり、形を変形させたりできる。
剣や槍は作れるが、浮かべて自由自在に飛ばすなんてことは出来なかった。
土魔法で作った剣はかなり脆かった。
質量に関係なく、同時にいくらでも作り出すことが出来たが、手にもてる数に限りがあるので、意味が無い。
<風魔法>
1箇所に集中すれば、小石ぐらいなら浮かべることができた。
かまいたちの様に飛ばせないか試してみたが、草を何度か揺らすぐらいで、空気のカッターみたいなのは出せなかった。
見たことも無いものはイメージ出来ないので仕方ないのだろう。
<水魔法>
蛇口を捻った程度の水が出せる。
これも水圧を上げれば攻撃に使えないか試したが、草を切ったりは出来なかった。
手を洗ったり、飲水にしたり、生活する上ではかなり使えそうだ。
どの魔法もレベルを上げれば、精密さが上がり武器として使えそうだが、今は火魔法と土魔法ぐらいしか実戦で使えそうにない。
どの魔法もこれからに期待と言ったところか……
さて、調理器具だ!
「こいつが使えそうだよな……」
俺はアイテムボックスから角を2本取り出した。
角同士をぶつけてみると。
『キーンッ!!』と鉄同士がぶつかるような音がした。
この角は、ホーンラビットを解体した時に、素材としてアイテムボックスに残ったものだ。
角だから、骨の一部だと思っていたが、かなり硬い。
鑑定してみると……
【ホーンラビットの角】<硬質強化>
硬い。先端が尖っていて渦巻き状に溝が入っている。
説明は、見たままのことが書いてあった。
ホーンラビットの肉を食べて分かったことだが、名前の横に書いてあるのが、
能力を鑑定してみると。
【硬質強化】
物質の強度を高める。
「どうやって使えば良いんだ……?」
付与できる能力が分かっていても使い方が分からなければどうしようもない。
俺は、思いつくままに、確かめてみることにした。
土魔法で作った剣の中に、角を入れてみた……何も変わらない。
角を手に持って、材料としてイメージしながら、剣を作った……ただの土の剣ができた。
「このまま使うんじゃないのか?……加工するのか?それなら、削って……この硬さは削れなよな……そうかっ!」
考えていてふとした事に気づいた。
元々、ホーンラビットに着いていた角を解体したのは
「アイテムボックスの中なら、思うように加工できるんじゃないか?」
角をアイテムボックスに収納して、1本だけ粉状に加工するイメージをしてみた。
すると、アイテムボックス内に【ホーンラビットの角(粉末)】が表示された。
「これならどうだ?」
土の剣を作る過程で、角の粉を混ぜるようにすると……
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【土の剣】<硬質強化>
土で出来た剣。
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「できたっ!」
剣の鑑定結果に<硬質強化>が追加された。
俺は早速、森の木で試し斬りをしてみることにした。
先に、普通の土の剣で木を斬り付けると……
『ガコッ』
鈍い音がして、剣が弾かれてしまった。
剣の刃はボロボロなり、色んなところにヒビが入っている。
「次はこいつだな……」
<硬質強化>を
『ガッ』
同じような音がなかったが、剣が木に5cm程くい込んでいる。
引き抜いて、刃を確認したが、刃こぼれひとつしていない。
「これなら大丈夫そうだな!」
土の剣は剥き出しで持っていると危ないので、アイテムボックスに入れておくことにした。
俺は、<硬質強化>を
ホーンラビットの肉を1口サイズにカットして串に刺していく。
あとは火で炙ればホーンラビットの串焼きの完成だ。
塩やタレはないので今朝と同じく、このままいただくことにした。
「普通にうまいな」
まぁ、味は今朝と同じだが、かなり食べやすくなった。
自分のステータスを確認してみると
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【名前/性別】カミヤ ジン/男
【年齢/レベル】17歳 / Lv.3
【スキル】料理:Lv.5 / 火魔法:Lv.1 / 水魔法:Lv.1 / 風魔法:Lv.1 / 土魔法:Lv.1 / 身体強化:Lv.1<0.1>
【ユニーク(隠蔽)】転移者 / 鑑定 /
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身体強化にはLv.1の横に0.1と表示されている。
朝食べた肉の効果がまだ残っていたようだ。
効果時間はどれぐらいなのか、どこにもかいていないので、わからないが、2個食べればLv.2になるんじゃなくて、0.1が横に着いただけだ。
「同じ効果の物を
わからないことだらけだ、1つずつ試していくしかないか……」
昼飯を食べ終えた俺は、また森を散策することにした。
散策するにしても、この森はかなり広いようで、中々抜けることが出来ずにいた。
流石にそろそろ人に会いたい……
「あー! マップとかないのかよ!?」
少しイラつきなか叫んだ俺は、目の前に現れた半透明の画面に目を見開いた。
そこには自分の位置がわかる地図が表示されていた。
わかりやすく言うとスマホのマップの様に、真上からのイラストに自分のマーカーが表示されている。
意識するだけで拡大、縮小ができる。
「なんで早く気づかなかったんだ……」
落ち込みながらも街を見つけた俺はその街に向かうことにした。
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