君の知らぬ地平の彼方(リメイク)
旭 新崎
プロローグ
外はいつものように黒い雨が降っていた。 「ねぇ!おじちゃんおじちゃん!またお話して!」 そう言いながら無邪気な子供らが、その日も老人の下へ駆けて行った。 私も、隅っこで読んでいた古い本を閉じて、立ち上がった。 老人の話はいつも面白かった。 自分たちが知らない世界や動物、植物、歴史、人物。様々な話をしてくれた。 皆、冗談の類だと思っていたが、それでも老人の話は毎日変わらない生活を過ごす子供らにとって、その退屈を払うには十分な効力があった。 老人は子供らの騒がしい声を制止して静かに言った。 「待ちなさい。私は今話す内容を考えているところだから、その前に、雨で汚れた服を脱ぎなさい」 老人は雨が嫌いだった。 老人曰く、自分は子供らと違い雨に
これから記すのは、その老人の話と、私が各地を探し回って見つけた資料を元に再構成した、九条千秋という男の壮絶な、それでいて儚い、悲しき人生の物語である。
君の知らぬ地平の彼方
誰もが夢見る桃源郷
蟻の子一匹死なぬ世へ
この身を投げて進みけり
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