FAIRIES STORY of PHANTASIA
高木礼六
プロローグ
古により伝えられる魔族と人族、そして妖精による世界大戦。
突如として現れた未曾有の力を振るう魔物たちによって、人々は生存の危機に晒された。
ーー魔王城、魔族たちの楽園。
魔物たちは魔王と呼ばれる魔物の王の統率の元、圧倒的な潜在能力の差を見せつけ、破壊の限りを尽くし、次々に辺境の国や村を滅ぼしていく。
人々は逃げ惑うが、力無いものから順にその命を刈り取られ、貪られ、
結果、奴らが通った後には飛び散ってどす黒く変色した血肉と荒廃した建物しか存在しなかった。
世界という世界が消され、滅ぼされ、蹂躙され、怒涛の進撃は刹那の間に世界の半分を覆い尽くし、やがて生き残った人族には恐怖という名の絶望が植え付けられた。
しかし、人族も同胞を殺された憎しみを糧に反撃に打って出る。
ヒューマン、エルフ、ビースト、それまで互いに敵対していた国同士が手を取り合い、同盟を築いた。
その名も《三聚の絆》。
さらに遥か古代から伝わる伝承、
異なる三種族が手を取り合った時のみに現れる伝説の存在、妖精を頼った。
伝承は正しく叶えられ、各種族の王のもとに一匹の妖精が降り立つ。
ビーストには力の妖精を、エルフには魔法の妖精を、そしてヒューマンには知の妖精を。
それぞれの妖精がそれぞれの力を王を中心に同種族の者たちに譲渡し姿を消し、人族は魔物に対抗しうる力を手に入れた。
その恩恵は計り知れないものだった。
ビーストの武力は山を砕き大地を抉り、
エルフの魔法は自然を操り脅威を消す、
ヒューマンの知力はそれらを統括し最適な行動を導き出す。
完璧だった、どんな奴でもこの三力が組み合わされば勝てないものはいなかった。
ーーアイツ以外は
魔族の王にして魔物の統括者、人族にとっての最大の脅威、【魔王】の力は絶大だった。
ビーストの武力を力で封じ込み、
エルフの魔力を魔剣で粉砕し、
ヒューマンの知力を上回る速度で次の行動をとる。
戦いは熾烈を極め、三つの日を跨いだ。
そしてついに、三王の手によって魔王は封印された。
魔王の封印により世界に蔓延っていた恐怖が消失し、魔王城を残したまま世界は平和という幸せを築いた。
だが同時に世界は平和というぬるま湯に浸ることになったのかもしれない。
伝承は幻想となり、魔法は日常へと成り代わった。
それから時は数万年後へと進む。
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