day -06:フツウの日
六日前。
ちょっと考えればわかりそうなことだったけれど、恥ずかしながら気付いたのはこの日の朝になってからだった。様々に模索した結果、やっと見つけた迷惑をかけない絵に描いたような自殺――その発想の中心核が、『自殺に見せない自殺』なのだとしたら、そもそも今までの工作を続ける意味はないということ。つまり、恥の上塗り工作はもはや続けても仕方ない。むしろ自殺を疑われるだけ、有害ともいえるだろう。
だから前日学校を休んだことも、無意味だったわけだ。
上塗りした恥のほとぼりを冷ますためにも、毬雲との約束――返事待たせの一週間は、妥当な選択だったのかもしれない。
「……やれやれだぜ」
昨日読んだ漫画の台詞をそのまま引用して、起床。
今日は普通に学校へ行こう。
* * *
学校では。
いつも通り。
授業をこなし。
時間を消費して。
昼食は食堂で食べ。
卯生とは雑談をした。
毬雲には会わなかった。
美術部のない金曜日。
天文部はある曜日。
この日は卯生も。
参加したそう。
久し振りに。
* * *
それだけで、何かあったといえば、電話があったことくらいだ。
携帯電話に、ではない。家の電話に、だ。
珍しく、久し振り。
けれど大したことではない。
連絡網。
同期の生徒。
渡砂瀬々斗が死んだ。
享年十七歳だった。
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