day -08:方法論ト結果論
一週間と一日前。
人間は考える葦である。
フランスの(今の若造の感覚としては)古い哲学者が記した、有名な言葉だ。……曰く、人は植物の葦のように弱々しいが、その頭脳で思考を行え、そしてそれこそが人の人たる理由――人間の価値であると言うこと。あるいは同じくフランスの、またほぼ同時期の哲学者である彼の言葉を引用してみても、良いかもしれない。
我思う、故に我在り。
コギト・エルゴ・スム――ありとあらゆる事象の存在に疑いをかけ続けた彼が、唯一その実在を認めたのは、現在何かを疑っているという自分――つまり、思考という行為だけだった。言葉の響きとは裏腹に、随分と消極的でこじんまりとした結論だ。しかしてそれが、近代哲学の出発点となったのだ。
「……っ! ……っ、…………っ」
人はとかく考える事が好きだ。
考えろ考えろ、と誰も彼もが念仏のように唱える。僕だって言う。
例え同じ結果へ行き着いたとしても、過程として『考えて』行った結果なのか、『考えずに』行った結果なのかで、他人の評価は大きく変わる。大きな損得が関わらない限り、前者は認められ、後者は非難される。どのような結果に辿り着くかは、その人間が持って生まれた才能と環境で養われる経験によって差異が生まれるが、『考える』こと自体は誰にでも可能だ。『考える』行為は、大よそどんな人間でも行える努力であり、それをしないのは怠惰と怠慢――存在の否定でしかないからこそ、人は言うのだ。考えろ、と。
「くっ……、ふっ…………」
考える、とはどういうことだろう?
「――ちぃ……、くっそ……」
それは、完璧に近付く、ということだろう。
人間は完璧や完全に憧れ、それらを崇拝し、そう成りたいと、そうで在りたいと、願う。どんな人間であろうと、最初はそのはずなのだ。妥協はするかもしれないが、それは100%があまりにも遠いために、全うするのが現実的な領域へと、目標段階を引き下げているに過ぎない。結局、その段階までは全うしたい――その程度には完全でいたいと願う。願い、そしてまた考える。
とどのつまり誰だって、そこそこには完璧主義者なはずなのだ。
「…………、はあ、はぁ、……ふっ、ぅう……」
けれど、疲れる。
完璧主義者は、疲れる。
完璧は疲れる。努力は疲れる。思考は、疲れる。
届かず、報われず、終らない。
走り疲れるように、歩き疲れるように、疲れる。
疲れるのだ。
疲れたら、やがて停滞を求める。
転倒しても転落してもいい――停止させてくれ。
――頼むから。
「はぁー、ふぅー、はぁー、……っ!」
それこそが自殺だ。わかりやすい終止符なのだ。
要するに人間である事に疲れた、というだけで、自殺に他の理由など要らない。人が死にたくなる、簡単すぎる要因。動物以下に成り下がれるのなら、死ななくたって別に良いのだ。『人』――『思考』を停止させられたら、それだけでもういい。ただの葦へ脱落――堕落したい。
そう、終止符。
「あー……、終了、か」
思い至ってみれば、やたら自殺への注文が多い僕は、まだまだ完璧主義者であり、初志貫徹にこだわっているのであり、努力し、思考を続けて、つまり人として生きているのだろう。強制終了である自殺に対して、しかし正当な手続きを取ろうとしているという、矛盾。絵に描いたように死ぬ――納得の行く絵を描こうともがいている――完全へ到達したがっている――それゆえに、遠く、長く、結論が出なかったのだ。当たり前だった。
望んだ通りの絵が描けるはずない。
生きている間に得心行くはずない。
だったら――ぎぢぃぃいいいん!!
いん、いん、いん、いん……。
せ、
世界が、縦横、に、揺れてる……!
「……あ、わりぃ……大丈夫か、水梳?」
「ぅ、あ――あう、へいき」
右サイドからのバスケットボールが、横顔に直撃した。耳鳴りがしている。眼鏡が吹っ飛んでいる。じんじんする。試合が――授業が終了したと思って、気を抜いていた――。弛緩した肉体と精神に青春の波動を撃ち込まれた。夕日に向かって走りたくなった。ならんわ。クリティカルだった。バスケットボールは重かった。愛みたいだ。豪快にダンクシュート。水も飲みたかったのだが、忘れてしまった。どうでもいい。あ、よくねぇ。冷やすべきか。とりあえず痛い。ITEEEEEEE。IT企業。関係無っ。ああもう、ああもう。間抜けだ。散々だ。
…………。
水曜日の五限目、体育の授業。
この時間は、そんな事を考えて終った。
* * *
放課後、学校の屋上で卯生と話す。
僕の自殺方法について――だ。明日へ続くといった手前、説明しないわけにはいかない。
今日は生憎の曇天模様だが、その程度で僕の心は浮きも沈みもしない。さっき受けた顔の痛みも大分引いた。卯生が天文台の階段に腰掛けたのを見て、焦燥するでもなくもったいぶるでもなく、極めて普通に僕は話を始める。努めるのは、シンプルにわかりやすく解説することだけ。コイツは優等生なので、生徒引きのジョークなど必要ないだろう。
「で――――」
例えば。
「これは例えばの話だが」
空想話で、妄想話で、これがそのまま解答だなんて思ってもらっては困るということを、僕は予めきちんと説明しておく。
「まず、ナイフを用意しよう。市販のカッターナイフは流石に殺傷力に欠けるからやめておくべきだろうけど、人を殺せそうなナイフなら何でもいい。最悪包丁でもいい。つまりこれが直接の死因になるわけだ。次に、本棚を用意する。勿論本も、本棚をある程度まで埋め尽くすくらい、用意するんだ。本棚は固定式じゃなく、また背の高い奴がいい。身長くらいは欲しいな。道具は、あと……糸。そして必要なら、画鋲やテープだ」
ここで一端言葉を切る。
ややこしいから、脳内で道具を用意できるまで待つのだ。
「……いいか? オーケー。そしたら、ギミック――といっても簡単なもんだが――を用意しよう。はじめに本棚の上段に本を敷き詰める。本を取り出し辛いくらいに、本や消費者のことを考えてない本屋のように、ぎちぎちに。そしたら、その本と本の間に挟むようにして、ナイフを『据え付ける』。刃はこちら向きだ。ツバがあるのなら、それを本の背に引っ掛けるようにするとベスト。固定できたか? 後はもう一息だぜ。本棚を、『傾ける』。もう少しで倒れそうなくらいに。そして上部に糸を画鋲かテープで固定して、ピンと張ったままその糸を……ドアに『引っ掛ける』。そう――今、倒れそうな本棚が、糸の張力によって、かろうじてバランスを保っているところだな。これで完成だ」
もう一度言葉を切り、待機。
卯生の顔が納得行ったようになったら、続きに入る。
「ああ。あとは、『所定の位置』に座るか寝転ぶかして、“第一発見者”がドアを開けるのを待つだけだ。彼、または彼女がドアを開く――と、ドアに『引っ掛けていた』糸が外れ――結果バランスを失い、『傾けていた』本棚が倒れ――『据え付けていた』ナイフが――『所定の位置』にいる僕の胸元、ないしは首元に――」
どすん。
「――突き刺さる。“第一発見者”の目の前で、“第一発見者”の手によって、僕の自殺は完成するわけだ」
さて――話の根幹はここからだ。
今までの部分は、実はどうとでもなる部分だったりする。例えばと断った理由がそれだ。
「『そして』、だ。“第一発見者”は一体どんな行動に出るだろうか? また、そもそも“第一発見者”はいかなる人物で――むしろ、どういった人物を“第一発見者”にするべきなのだろうか? ……ここで、そこに僕の親を当てはめてみる。自宅でこの自殺を行うのなら、親が第一発見者となる確率が、最も高いからな。僕が目前で死ぬのを見た親は、どんな行動に出るだろう――?」
駆け寄る。
救急車を呼ぶ。
この辺りが妥当な線だろう。
だが。
「『もし』。親が至極冷静で、且つこれが自殺であり、さらにその引鉄を引いたのが親自身であり、さらにさらに、その場の状況を読み解く事が出来たとしたら……。そう考えてみる事が、この自殺法の焦点だ。――ところで」
ここで一端、話題を変更する。
必要な迂回だ。急がば回れというまでもない。
「ところで死ぬことが周囲に迷惑だという話は、以前したよな。しかし死に方に関してはどうだろう? 身内からしたら……特に、両親からしたら。自分たちの子供が死ぬのは、勿論残念で悲しいことだろうし、迷惑かそうでないかでいったら断然前者だ。けれど、死に方によってその度合いは変わってくるんじゃないか。事故で死ぬのも病気で死ぬのも仕方がなく、運命を呪うしかない。誰かに殺されたのなら、殺人犯を恨める。だが、それが――自殺だったら? 運命のせいにも他人のせいにも出来ず、もしそれでも挫けずに何か、誰かを槍玉にあげるとしたら――自殺した当の本人になるだろう。ひいては、当の本人をそうさせてしまった周囲の人間――筆頭で自分たち肉親だ。つまり、自分たちの罪が問われてしまう。迷惑だというのなら、自殺されるのが何より迷惑だ」
毬雲は、死んでも殺されても駄目、殺す方も殺される方も悲しい人だと言ったが、実際のところは自殺よりも殺人、殺人よりも事故病気で死んでくれた方が、まだしもましだろう。勿論死は残念な事で悲しいことで、あってはいけないことかもしれない。
それでも、やっぱり、特に、だ。
「自殺は禁忌なんだよ。動物は他の動物を殺すし、人間も毎日鶏・豚・牛から虫けらに至るまで、年がら年中何かを殺害し続けてる。身の危険が差し迫った時、他人を殺すか自分が死ぬか二者択一の状況なら、まずほとんどの人間が殺人を選ぶ。それらは生存するものとして、当たり前の心理で――自殺を選択するなんて、生物として破滅してる。異常だ」
異常で、在ってはならないこと。
正しくない、間違った、ポンコツ。
そんな子供を持ってる親は、親として失格なのだ。
――少なくとも、世間様の認識としては。
「それでは話を戻す。僕の親は、彼等の手で自殺を達成した僕の死体を発見した。ここで運良く取り乱しもせず、状況を冷静に把握したとするのなら、ひとつのことに気付くはず。現場に残っている物体の中で、糸さえ回収、処分してしまえば――客観的に、この状況は『自殺ではなくなる』――と、いう事実に、だ」
そう。
僕は自殺しなかったし、親も僕を殺さなかった。
殺人の中でも事故に限りなく近い、通り魔や空き巣による殺人。
うまくすれば、『家に侵入した何者かと揉み合った末に殺された、可哀想な息子の死体』に、仕立て上げる事が可能なのだ。たった一本の糸を、消すだけで。
「勿論、そこで糸の回収に走るような親は、実際にはいないだろう。けれど、もし家中が荒らされていたら? 金品が失せていたら? ナイフが背中に刺さっていたら? あるいは遺書に糸を回収して欲しいと最後のわがままが書いてあったとしたら? 話は変わってくるかもしれない。演出次第で、思考の方向も移る行動の種類も、変動する」
はたして、僕の親はどうするだろう。
人生最後の博打、賭博、そして一興。
自身の存在に対しての、最終設問だ。
「絵に描いたように死ぬ――何も、自分で描ききる必要はなかったんだ。自分が絵筆を持てなくなった後でも、死に様に彩り沿えて描き飾ってくれる人間は、周囲にいるんだから。好きなように――最大限迷惑にならない形で、僕の死を語ってもらえばいい。例え正直に自殺だと公表された所で、それは彼等の選択の結果になる。選択の幅を残すこと、選択できるよう自分の死に関してお膳立てすること――以上が、昨日僕が思い至った自殺の発想だよ。とりあえずの形に纏め上げるべく、一日貰ったけれどね」
「ふぅぅ~ん……」
卯生は息を大きく吸って。吐いた。そして僕の説明をしばらく咀嚼するようにしてから、言った。
「自分以外の人間に、自分の死をあえて飾らせる、かぁ」
「そ」
「粋だねぇ」
しみじみと。
「でも、その話では親御さんがどうゆう行動に移るかは、わからないんだよね」
「僕は死んじゃってるからな」
「それでも良いの?」
「この際結果はどうでも良いんだよ。重要なのは、そこまで僕が状況を用意したってことだ。迷惑をかけるのを怖れ、そのために僕なりの最善を模索したこと。それさえ伝われば良い。描きたかったのはその死に様だけで、後からどんな風に飾られようと、気にしない」
世の中に数多存在する真実がそうであるよう、解釈の問題だ。今日は空の大部分を覆い尽くしている雲の形や、その向こう側の星の配置。見る人によってそれらの意味は違ったように捉えられるが、実際それらはただ存在しているだけ――いってしまえば、これも『思考』の賜物だ。
「んー……。はい、先生」
卯生がぴしっと手を挙げる。コイツはぴしっと手を挙げて発言をする、かなり希有な生徒だ。ノリ良く僕も、定型句で受けて立つ。
「はい。何ですか、保呂羽さん」
「ナイフは固定しないんですね?」
「良い質問ですね――とか聞くけれど。悪い質問ですね、って受け答えは聞いたことないよな」
「馬鹿な質問をするな! ってゆーのが、良い質問ですね、の反対語じゃない?」
そもそも、良い質問って何なんだ、都合の良い質問なのか、目の付けどころが良い質問なのか、最近ではむしろ質問してくれるだけで良い傍聴人じゃない……と、少し脇道に話が逸れた。気を取り直して、真面目に返答する。
「……ま、『据え付ける』とはいったが、本と本の合間に『差し込む』くらいが正しいかもしれない。テープなんかできっちり固定してしまうと、後からの他殺偽装が難しくなるからさ」
「ああ、そっか。敷き詰めた本は、本棚が倒れたら抜け落ちる……だから、ナイフの方に痕跡が残らないんだ。上段だけって言ったのは、バランス悪くするためか。全体量も軽くなって、細工もしやすくなる……しね」
「うん。自殺である事の決定的証拠は、残してしまってもいい。けれど、それの回収が至って簡単であることが大事だ。発見者の精神的ハードルを、どれほどまで下げられるかがポイントだね」
「なんだかゲームみたいだねぇ」
「ゲームだよ。コイン代わりに自分の命を使うだけ」
「現代っぽい台詞ー」
「現代っ子ですから」
最終的にそういう所へ落ち着くんだろう。
努力に疲れる、辛抱のない現代っ子。ぬるい愉悦に浸りきった現代っ子。
思考を放棄する傾向。脱落を願い、自殺に走る――ゲーム感覚の若者たち。結局は、そんなもんだろ。ゲーム中のスリルを求めているのか、それとも小気味良いゲームオーバーを望んでいるのか、焦点が違うだけ。願わくば、リセットされることのないように。
「確実性は?」
「そこはもう、練習次第だろ。練習できるタイプの方法だし」
「ふーん……。……ん、いいんじゃないかな」
もう一度考えをなぞってみてからだろう、卯生はそう結論を出した。
「面白いと思うよ」
「そっか」
「そっけないじゃん。人が折角誉めてあげてるのにー」
「うーん。誉めてもらうのは嬉しいんだけど」
別に自殺法誉められても嬉しくないが。
「このまま使うわけには行かないからな。ウチの親じゃ、そこまで淡白な判断しなさそうだし」
「そだねー。きーきの親御さんじゃ、焦ってそれどころじゃないかもねー」
「だろ? 着想、着眼点――考え方の根本はやっと捕まえたけれど、実際にどんな方法を取るかは、まだ見えてない感じだ。はじめに言っただろ、例えばの話だって」
「成る程」
まぁ、根幹の部分……つまり死ぬ前に全てを終らせるのではなく、自分の死後、あえて他人に自殺の演出を任せてしまう――という部分は、悪くないと思う。ここから先は、まだ改良の余地があるし、逆にここからが楽しい(?)ところ……なのかもしれない。
「卯生の方は何か――」
言いかけたところで、
「あ――雨」
と、遮られた。
空を見ると、ぴしっと額に冷たいものが命中した。二人とも咄嗟に立ち上がり、荷物を掴んで校舎内へ退避する。窓の外を眺めていたら、次第に雨音が聞こえてきた。
「…………」
「おー……、結構降ってるねー。夕立かな、こりゃ」
「やっば。傘持ってねー」
「あたしは持ってるよー。天気予報で言ってたからね」
ししし、と変な笑い方をされる。
く……天気予報は僕も見たんだ。見たが、30%だったからな。迷ったものの、朝は時間もなかったんで持ってこなかったんだ。くそ、大したことじゃないのに悔しいぞ……。今日はなんだか、随分平和的で学生的な厄日だぜ。溜息が出る……。折り畳みくらい、常に鞄へ入れておくべきだった。
「おい、傘貸してくれないか?」
「ええ、何で? 持ってこなかったそっちのミスじゃん。てゆうか、うーうちゃんが濡れるじゃん」
「さっきの授業料」
「釣り合ってねぇー! 釣鐘と提灯どころじゃないよ。釣鐘と釣り針くらい釣り合ってないよ。釣りの三乗、つりキチ三乗だよ」
「うぉう、なんか上手いこと言いやがった!」
「はい、さっきの授業料かーえしたー」
「小ネタ一つで早くも返済された!?」
「おっさきー」
明るい水色の傘を持って、帰ろうとする卯生。
よく考えると、それほど上手くもないし……とっさに出てきたのは凄いが。
ま、仕方がない。ビジネスライクな幼馴染だ。靴箱周辺を見てみるが、部活も終っていない中途半端な時間なので、人はほとんどいない。止むまで待つか……メンドーだなぁ。この学校の図書室は、あまり面白い本を置いてないのだが。
視点を戻すと、卯生はまだ帰らずにこちらを見ていた。
「アイアイする?」
「あいあいがさ?」
「ラブラブアンブレラ」
「必殺技みたいだが、あれは相手に合わせるって書いて相合傘だぜ。ラブい仲でもねーし」
「あはは、釣り合わないってあたしが振ったんだよね」
このネタ引っ張られるなぁ……。やっぱ高校生は恋愛なのだろうか。
「まーまー、考えてみたらきーき、私に自殺方法を話してくれるために、今日学校に来たんでしょ?」
「ん? そだけど」
言ったっけ。
「せーせはあたしの彼氏じゃん。忘れんなよ」
「…………ああ」
どいつもこいつも情報が早いというか、頭が回るというか……あやかりたいもんだ。
卯生は玄関のガラス戸を開けて、傘をゆらした。
「てことで、そっちの分のギヴンをテイク」
「サンクスアロット」
靴を履き、外へ出た。
身長の関係上、僕が傘を持つ。結構大きい傘で骨の数が多く、明るいスカイブルーがコイツらしい。……相合傘とか、言葉自体が懐かしいな。酷くレトロな響きがする。今時、恥ずかしがるような事でもないだろうし、そういう気分に漸近すらしない。ラブラブとかは、もはや小学生のノリなんだろう。
しかし、卯生の良い香りが気にならないこともない、距離だった。
やがて家に着き、傘を手渡した。アイツは受け取ってじゃあねと一言、歩き出した方向は、保呂羽の家とは違った。
どうやら寄る所が、あるらしい。
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