オンラインコラム【異語り】(本)2
ー水飴ありがとうございました
「味はどうだった?」
ーはい。滑らかなのもそうなのですがふわりと香る花のような味がなんだか不思議で
「うん、これは地獄と天国の共同で育ててる花の蜜を混ぜてあるんだ。夏に感じられる優しい春を売り文句にしててね」
ー緩やかに迫る梅雨も感じましたね。初咲きの紫陽花の蜜も入ってませんか?
「驚いたな。今年は趣向を変えた味も取り入れたんだが記者さんの言う通りだ」
ー昔、叔父が色んな花の蜂蜜を試行錯誤してたのにわたしも付き合ってまして
「どおりで。いやあお見逸れした」
ー人を見た目で判断するのは。ですね(笑)
「いやはや、一本取られてしまったね」
ー(笑)
ー今年の水飴はちょっと違うとは聞いていましたので。好評の理由にも納得です
ーではお話戻してよろしいですか?
「ああ、うん。大鬼の件だけれどね、まだ警戒はしてほしい」
ーと、言いますと?
「大鬼の件自体は収束したけれども、あれから異が関していない異変が増えているって話をよく聞くんだ」
ー異(あや)の方々からですか?
「いや、隣人(となりびと)さん方からも、商いをしてたら小耳に入ってくるからこれは、ちょっとね」
ー問題がまだ残っている、と
「現状、一般人さんたちへの被害はないみたいだけれどね」
ー水飴屋さんとしてはそれが超えてはならないライン、ということですね
「デッカイ被害なんかが出たら最悪だとは思うから、原因を未だに調査中だよ。これは脅しとかじゃなく、警告だからね」
ーそれは特定の誰かに対してでしょうか?
「まだ、そこには至れていない。のが悔やまれるね」
ー今後の課題ということですね
「そうだね。まだまだかかるかもしれない。またなにか分かれば地獄から知らせるとは思うよ」
ーありがとうございます。
「インタビューは以上かな?」
ーああ! 要望で多かった質問をひとつ!
「なんだろう?」
ー「山のような仕事を盆までに片付けられる方法を教えてください」、だそうです。
ーお盆中はお仕事はされてないという話も聞いていたので。
「なンだ。簡単だよ。「死ぬほど頑張る」、さ!」
ーあああ!まさかの地獄ジョークですね!?
「ははは!実際は夏休み以降に片付ければいいもの以外から手をつけているだけだね!」
ーなるほど!! とても納得しました!
ー今回はインタビューに応じていただきありがとうございました!
「まだまだ暑い日は続くからね、みんな熱中症なんかには気をつけてくれよ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます