指導者篇(六):育成

育成




■好敵手を設定する

部下を持ったらまずその人物に見合うライバルを設定してやる

ライバルと相競うことで部下に向上心が芽生えて成長が促進される

まったく手の届かないほど差がある者をライバルに設定しないこと

努力すれば手が届く程よいライバルを設定してやるのも上司の仕事

《『戦国策』斉、秦より》

《『論語』八佾第三、公冶長第五、述而第七、顔淵第十二、

     衛霊公第十五より》

《『孟子』公孫丑より》

《『五輪書』火之巻より》




■とりあえずの案を例示する

部下に案を出させようとするとき、まずは指導者が案を出すこと

案が一つ二つ出てくれば、そこから派生した案が出てくるようになる

部下に案がないのではなく、連想のスタート地点がわからないだけ

「君はそう考えるのか、私はこう考えるけど」と添えるだけでよい

《『諸葛亮集』将苑知人性より》

《『論語』学而第一、雍也第六より》

《『ランチェスター思考II』二部七章より》




■人材を育てる

ひと通りやれるようになったら部下によい案を出させて実行を任せる

自主性に任せて干渉せず見守って適宜フォローして自分で考えさせる

部下に「自分の裁量で仕事をしている」自負と責任感を芽生えさせる

助力なしに成果を挙げるようになれば委任して自信を持たせる

《『孫子』始計篇第一、謀攻篇第三より》

《『諸葛亮集』将苑知人性、習練より》

《『論語』泰伯第八より》

《『管子』権修より》

《『三事忠告』牧民忠告より》

《『重職心得箇条』第二条より》




■失敗体験も必要

成功体験だけを積ませても、逆境に陥った際に冷静に対処できなくなる

教え込むときは軽い失敗を積み重ねさせ、失敗に対する怖れを取り去る

失敗体験の積み重ねが、いずれ訪れる大きな失敗に強い人材を育てる

失敗を飲み込めない人にはしばらく放っておいて自発的な変化を待つ

《『論語』学而第一、公冶長第五、雍也第六、子張第十九より》

《『呻吟語』第四章より》

《『菜根譚』前集より》

《『ランチェスター思考II』一部五章、

              二部十二章より》

《『戦争の変遷』第四章より》




■役割拡大と昇進

高い成果を収めながらも余裕があるようなら他も任せるか昇進させる

期待をかけて厚遇を約すからこそ、人は仕えようという気になる

《『管子』立政、法法より》




■任地を変えて私利を排す

長く留まればそこで有力者の手が伸び、私利を図るようになっていく

そうなる前に任地を変え、あたら有能な人材が悪に堕ちないようにする

新任地を開拓することで能力の拡大も見込めるので任地は固着させない

《『貞観政要』太子諸王定分篇より》

《『三事忠告』牧民忠告より》




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