指導者篇

指導者篇(一):指導者

指導者


ここからは部下を持つ人の心得を見ていきます。




■利をもたらす

人々を愛し、財を与え、厳命で強制せず教化し、賞で励ます

余裕があるから人はおおらかになり、諍いを起こさず指導者に従う

抑圧すれば人々は陰に籠もり、叛逆の牙を研いで機会を窺うようになる

相手に利をもたらしていれば相手はあえて指導者を害そうとしなくなる

見返りを求めるようではまだまだ、人に施した恩恵は忘れてしまうこと

《『呉子』図国篇第一より》

《『尉繚子』十二陵篇第七より》

《『六韜』文韜の巻文師篇第一、

     武韜の巻文啓篇第十四、順啓篇第十六より》

《『三略』上略、下略より》

《『孫ピン兵法』上篇行簒、

        下篇将義より》

《『諸葛亮集』将苑将志、

       便宜十六策考黜より》

《『老子』より》

《『易経』繋辞下伝より》

《『論語』為政第二、里仁第四、公冶長第五、泰伯第八、

     顔淵第十二、子路第十三、子張第十九、堯曰第二十より》

《『孟子』梁恵王より》

《『墨子』尚賢下、兼愛下、天志、非楽上より》

《『荀子』富国、非十二子より》

《『大学』より》

《『中庸』知より》

《『管子』中匡、牧民、軽重、五輔、覇言より》

《『貞観政要』君道篇より》

《『三事忠告』廟堂忠告、牧民忠告より》

《『呻吟語』第二章、第四章、第五章より》

《『菜根譚』前集より》

《『河陽兵庫之記』より》

《『負けない奥義』第一章より》

《『言志四録』言志録、言志後録、言志晩録、言志耋録より》

《『政略論』第一巻十七、十八、三十二、

      第三巻二十三より》




■人々のために存在する

指導者は人々のために存在し、奉仕して人々の権利を保護する

人々が指導者のために存在しているわけではない

自分だけの利益を追求して人々の権利を奪ってはならない

人の欲望は際限無いが、精力には限界があるのだから慎むべき

《『司馬法』定爵篇第三より》

《『尉繚子』戦威篇第四、十二陵篇第七、治本篇第十一より》

《『六韜』文韜の巻文師篇第一、国務篇第三、

     武韜の巻順啓篇第十六より》

《『三略』上略、下略より》

《『春秋左氏伝』晋の文公制覇の時代、中原休戦の時代より》

《『易経』繋辞下伝より》

《『論語』八佾第三、堯曰第二十より》

《『孟子』梁恵王、公孫丑、滕文公、離婁、尽心より》

《『荀子』富国、天論より》

《『墨子』兼愛下、非楽上、非命上、耕柱より》

《『大学』より》

《『管子』権修、五輔、覇言、小称より》

《『貞観政要』政体篇、教戒太子諸王篇、倹約篇より》

《『三事忠告』廟堂忠告、風憲忠告、牧民忠告より》

《『呻吟語』第一章、第四章、第五章より》

《『菜根譚』前集、後集より》

《『甲陽軍鑑』品第第三十、四十一より》

《『兵法家伝書』殺人刀 上より》

《『負けない奥義』第一章より》

《『重職心得箇条』第十七条より》

《『言志四録』言志録、言志耋録より》

《『ランチェスター思考II』一部四章より》




■道に則る

人々に利をもたらし損を排していれば攻め入られる口実を与えない

攻め入られそうでも相手の「非道」を問うて義兵を期待できる

《『孫子』始計篇第一より》

《『呉子』図国篇第一より》

《『六韜』文韜の巻守土篇第七、

     武韜の巻順啓篇第十六より》

《『三略』上略、下略より》

《『孫ピン兵法』上篇簒卒より》

《『老子』より》

《『易経』繋辞上伝より》

《『論語』衛霊公第十五より》

《『孟子』梁恵王、公孫丑、離婁より》

《『墨子』兼愛下、天志より》

《『荀子』富国、議兵より》

《『大学』より》

《『管子』牧民、形勢より》

《『貞観政要』貪鄙篇、文史篇より》

《『呻吟語』第一章、第二章より》

《『菜根譚』前集より》

《『闘戦経』第二十二章より》

《『河陽兵庫之記』より》

《『負けない奥義』第一章より》

《『言志四録』言志耋録より》




■人々の支持で地位が保たれる

道に則り人々に利をもたらせば、人々は指導者の指示に喜んで従う

人々の利に沿わない指示を一度でも出せば反感を買って信用は崩れる

人々に損させたときは即座に非を認めて人々に謝罪する

謝罪したのち改めて正しい指示を出して償うこと

《『尉繚子』戦威篇第四より》

《『六韜』武韜の巻文啓篇第十四、

     竜韜の巻励軍篇第二十三より》

《『三略』上略より》

《『論語』堯曰第二十より》

《『孟子』梁恵王、公孫丑より》

《『墨子』兼愛下、非儒下より》

《『荀子』王制、議兵より》

《『大学』より》

《『管子』牧民、形勢、重令、枢言より》

《『貞観政要』誠信篇より》

《『三事忠告』廟堂忠告、牧民忠告より》

《『呻吟語』第一章、第二章、第三章より》

《『闘戦経』第五十章より》

《『言志四録』言志録より》

《『政略論』第一巻十、

      第二巻三十、

      第三巻五、六より》




■自信を持つ

行ないに自信を持たなければ、どうしてその人を信用できるのか

道に外れたり恥じ入るところがないのなら、自信を強く持つこと

《『易経』繋辞下伝より》

《『論語』為政第二、八佾第三、子罕第九、子路第十三、

     憲問第十四、衛霊公第十五より》

《『孟子』公孫丑、離婁、万章より》

《『墨子』親士より》

《『荀子』解蔽より》

《『管子』牧民より》

《『菜根譚』前集より》

《『重職心得箇条』第三条より》

《『言志四録』言志録より》




■展望と目的を宣言する

人々に輝かしく進歩した未来への展望を伝えれば求心力が増す

指示が人々に利をもたらすと宣言し、指導者の意義を理解させる

展望と超えるべき壁と倒すべき敵を当初から明確にしておく

その場の思いつきで物事を進めようとしても永続性はない

《『管子』立政より》

《『三事忠告』牧民忠告より》

《『菜根譚』前集より》

《『政略論』第一巻五十三より》




■しなければならないことをする

しなければならないことをすれば必ず成功する

しなくてもよいことをすれば自ら問題を引き起こす

爵位や俸禄を辞退するのはたやすい

眼前にある小さな利欲に動かされないことは難しい

するときには何があってもいいように、退くことも慮っておく

「しなくていいことはしない」ことも含まれる

《『老子』より》

《『論語』為政第二、憲問第十四より》

《『墨子』耕柱より》

《『管子』形勢、立政、法法より》

《『三事忠告』廟堂忠告より》

《『菜根譚』後集より》

《『五輪書』風之巻より》

《『言志四録』言志録、言志耋録より》




■大所高所から見据える

いっとき理解されない指示でも結果として人々の利益になることをする

つねに大局から状況を見据え、のちのち人々に利をもたらす指示を出す

《『論語』里仁第四、子路第十三、憲問第十四より》

《『孟子』離婁より》

《『墨子』非楽上より》

《『荀子』解蔽より》

《『管子』中匡、形勢より》

《『韓非子』十過より》

《『呻吟語』第五章より》

《『菜根譚』前集より》

《『五輪書』風之巻より》

《『負けない奥義』第二章、第三章より》

《『重職心得箇条』第一条、第六条より》

《『言志四録』言志録、言志晩録より》

《『君主論』第一五章より》

《『政略論』第一巻九、三十三、四十七より》




■自ら問題点を探り出す

いきなり部下に任せず、自ら現場に赴いて問題点を見出しておく

その問題点の解決を部下に任せるようにすれば、部下の独断を阻める

なんでも部下に任せっきりにすると派閥が発生する下地となる

《『墨子』非命上より》

《『管子』立政より》

《『三事忠告』風憲忠告より》

《『甲陽軍鑑』品第十九より》

《『ランチェスター思考II』二部九章より》




■指示は部下を介す

事あるごとに人々に直接指示を出すのは指導者の威厳を損ねる

部下は人々に指示を出す職責なので、重大事以外は部下を介して伝える

矛盾した指示を繰り返すと言葉が軽んじられ求心力は急速に低下する

《『戦国策』斉より》

《『老子』より》

《『管子』形勢より》

《『韓非子』難より》

《『ランチェスター思考II』二部九章より》

《『闘戦経』第三十二章より》

《『重職心得箇条』第一条より》

《『言志四録』言志耋録より》




■日頃はおおらかに、追及は重々しく

日頃はおおらかに人々と一体となり、謙ってご機嫌伺いなどしない

いざ事が起これば重々しく威厳を持って冷静に対処し感情に走らない

《『論語』八佾第三、述而第七、泰伯第八、郷党第十、

     子路第十三、陽貨第十七、堯曰第二十より》

《『大学』より》

《『管子』形勢より》

《『韓非子』亡徴より》

《『貞観政要』納諫篇より》

《『三事忠告』風憲忠告、牧民忠告より》

《『呻吟語』第一章、第二章、第三章、第四章、第六章より》

《『菜根譚』前集より》

《『闘戦経』第二十五章より》

《『河陽兵庫之記』より》

《『五輪書』水之巻、火之巻より》

《『重職心得箇条』第一条、第八条より》

《『言志四録』言志録、言志耋録より》




■範を示すために能力拡大を怠らない

地位を鼻にかけず公平に遇し、約束を守って人々と心を一つにする

寒暑・空腹渇水・貧困など苦難を共にすれば人々は指導者の意を汲む

自分の考えに近い言葉だけを聞いて満足しない

組織内の不満は募りにくくなるので、人望はできるかぎり身につける

為政者は人気投票でなく、人徳と実務能力で決められるべき

《『孫子』始計篇第一より》

《『司馬法』仁本篇第一より》

《『尉繚子』戦威篇第四より》

《『六韜』文韜の巻明伝篇第五より》

《『三略』上略、中略、下略より》

《『孫ピン兵法』下篇将義、将敗より》

《『諸葛亮集』将苑将器、将志、将疆、将誠、軍蠧、謹候、

         哀死、レイ士、将情、

       便宜十六策賞罰より》

《『論語』泰伯第八、顔淵第十二、子路第十三より》

《『孟子』滕文公より》

《『墨子』兼愛下より》

《『荀子』勧学、富国、解蔽より》

《『大学』より》

《『中庸』徳・知・誠より》

《『管子』牧民、形勢、権修、立政、小称より》

《『韓非子』亡徴より》

《『貞観政要』君道篇、政体篇、忠義篇、悔過篇、行幸篇より》

《『三事忠告』廟堂忠告、風憲忠告より》

《『呻吟語』第二章、第五章より》

《『菜根譚』前集より》

《『闘戦経』第十二章より》

《『言志四録』言志耋録より》

《『君主論』第二一章より》

《『政略論』第一巻十八、

      第三巻一、九、二十九より》




■初心を忘れない

地位に長い間就いているとつい「人々のために」の意識が薄れてくる

つねに初心を忘れず人々に慕われ恐れられる存在であり続けること

《『呉子』図国篇第一より》

《『尉繚子』十二陵篇第七より》

《『六韜』文韜の巻明伝篇第五より》

《『三略』上略、中略より》

《『諸葛亮集』将苑自勉より》

《『論語』陽貨第十七、子張第十九より》

《『墨子』兼愛下より》

《『荀子』解蔽より》

《『大学』より》

《『中庸』徳・知より》

《『管子』小称より》

《『韓非子』亡徴、十過より》

《『貞観政要』君道篇、納諫篇、君臣鑒戒篇、仁義篇、謙譲篇、

       務農篇、慎終篇より》

《『三事忠告』廟堂忠告、風憲忠告、牧民忠告より》

《『呻吟語』第一章、第二章、第五章より》

《『菜根譚』前集より》

《『甲陽軍鑑』品第五十より》

《『政略論』第一巻二、四十一より》




■有徳の士を先生とする

すぐれた人材の意見を聞き、自分をより向上させること

上司に向上心がなければ、部下も向上心を持たなくなる

たとえトップに立ったとしてもつねに謙虚に徳を修めていく

有徳の士を厚遇で迎え入れればすぐれた人材が集まってくる

過ちを指摘されたらむしろ喜ぶべき

《『司馬法』定爵篇第三より》

《『尉繚子』十二陵篇第七より》

《『六韜』文韜の巻明伝篇第五より》

《『三略』上略、下略より》

《『戦国策』燕より》

《『論語』学而第一、公冶長第五、衛霊公第十五より》

《『孟子』公孫丑、滕文公、離婁、万章、告子、尽心より》

《『墨子』親士、所染、七患、貴義より》

《『荀子』勧学より》

《『大学』より》

《『中庸』徳より》

《『管子』大匡、中匡、牧民、形勢、法法、枢言、覇言より》

《『韓非子』亡徴、十過、説林より》

《『貞観政要』君道篇、政体篇、求諫篇、尊敬師傅篇より》

《『三事忠告』廟堂忠告、風憲忠告より》

《『呻吟語』第二章、第五章、第六章より》

《『菜根譚』前集より》

《『負けない奥義』第一章より》

《『重職心得箇条』第二条、第十二条より》

《『言志四録』言志録、言志後録より》




■人々を団結させる

国は人民が団結し、軍は将兵が団結する

団結すればこそ人々は協力して大きな成果を出せる

団結していなければ烏合の衆にすぎない

《『呉子』図国篇第一より》

《『三略』上略より》

《『孫ピン兵法』下篇〔将失〕より》

《『韓非子』亡徴より》

《『言志四録』言志録より》




■汚い仕事は部下に任せる

裏方の汚い仕事は部下に任せ、指導者は高潔さを求めること

指導者はあくまでも人徳を備えて民心を惹きつけていればまとまる

人徳では解決できない汚い仕事は、頼れる謀臣に任せて切り離す

《『政略論』第一巻十八より》




■非道

非道は我欲に溺れて他者から奪い、意に背いたら厳罰極刑にすること

相手の勢力が小さくても民意を得ている組織は攻める大義名分がない

《『呉子』図国篇第一より》

《『六韜』武韜の巻順啓篇第十六より》

《『三略』上略、下略より》

《『春秋左氏伝』鄭の荘公小覇の時代より》

《『論語』季氏第十六、陽貨第十七より》

《『孟子』梁恵王より》

《『墨子』兼愛下、天志より》

《『荀子』富国より》

《『中庸』徳より》

《『管子』形勢、法法より》

《『韓非子』十過より》

《『貞観政要』納諫篇より》

《『呻吟語』第五章より》

《『甲陽軍鑑』品第五十より》

《『君主論』第一九章より》

《『政略論』第一巻四十五、

      第三巻六より》




■恐怖政治

人望が薄く非道な指導者は、逆らう者を必罰する恐怖政治で臨む

恐怖政治は王覇の軍の攻め入る口実となる

恐怖政治による支配が強まるほど、権力を失ったとき極刑に近づく

《『三略』上略より》

《『老子』より》

《『墨子』親士より》

《『荀子』富国、解蔽より》

《『君主論』第八章、第一七章、第一八章より》

《『政略論』第三巻六より》




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