あぽがれ! ~憧れのポストアポカリプス

こねこちゃん

第1話 れじぇんどごっこ

「ひゃっはー。コレやってみたかったんだよね!」


いまオレは自衛隊基地に忍び込んでいる。

そして戦闘機を見つけて、その主翼の上によじ登り、ゴルフボールを置いたところだ。


もし君がゾンビ映画ファンとするならば、アイアム〇ジェンドって映画を連想するかもしれない。

そう、オレがやろうとしてるのはソレの再現である。


お国を守るという崇高な目的を持って作られた軍事機密の塊の上でのゴルフ遊び。

これは最高に贅沢でイカしたお遊びではないだろうか。

いつかやってみたかったのだ。


まあ、ネトウヨ達にこの所業が知れ渡ったとしたら炎上間違いなしであったろうな……とか、かつて第一級ネトウヨとサヨク連中から恐れられた(?)オレが言ってみる。

自称愛国サヨクとやらがSNSで何かトンチンカンな持論展開してて、この持論は〇〇大学の〇〇教授も支持してんだみたいなことドヤってたから、「あれ、その先生って、福島原発事故でメルトダウンなんてしてないとかウソ言ってたご用達売国教授だよね?」と普通に事実を指摘しただけなのに、発狂して先程の素敵な称号を勝手にくれた挙句にアク禁されるという目にあったことは懐かしい思い出だ。



オレはゴルフクラブを振りかぶり、そしてゴルフボール目掛けて思い切り叩きつけた。


ガンッ!!


飛び散る火花。

手首に走る痺れと激痛。


「ぐああああああああああ、ふぁあああああああああああっく!!!」


案の定、ゴルフボールではなく翼にクリティカルヒットさせてしまったのだ。

翼の上で絶妙なバランスを保っていたゴルフボールはコロコロと転がっていき、そして落ちて空しく地面で跳ねた。


本当にオレはダメな奴だ。

長年憧れ、そしてここまで整えたシチュエーションにも関わらず、最後の最後で台無しにしたのだ。

いま思えば、何故やったこともないゴルフ打ちっぱなしがいきなり成功すると思ったのだろうか。

この辺りからして、行き当たりばったり人生で失敗の連続だった苦々しい日々を思い出させられる。


「ちくしょおおおおおおおおおおおお!!」


オレは悔し紛れに戦闘機の翼にゴルフクラブを数回叩きつけた。

うん、手が痛いな。余計腹立ってきたぞ!



その騒動を聞きつけたのであろうか。

いつの間にか自衛隊の制服や作業着を着たヤツが近づいてきて、翼の上の僕に対して抗議するかのように手を伸ばしていた。


「ちぇすとおおおおおおおおお!!」


それに対するオレの反応は、ゴルフクラブを上段に構えて地面に飛び降り、その勢いでヤツのあたまに思い切り叩きつけることだった。


グシャあ!!


砕ける頭蓋!


飛び出す目玉!


吹き出す脳漿!


「……ふう いい仕事をしたぜ」


そして、光る汗。

口元にこぼれる差し歯の光。

レッツ青春。


「やっぱりトレス解消にはゾンビ狩りだよね♪」


こうして、これにより身勝手に膨らんだフラストレーションは解消されたのだった。



……でも足挫いたかも。

ムカつくぜ。

もう一匹、逝っとくか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る