第19話

だが、私はあの日に確かに付け加えた筈だ。気を付ける様にと。やはり性病の事だ。  それは、当時その私が働いていたお店で、 私も何度か付いたお客がいたのだ。よく二人で、友達同士で来ていたおじいさん達だ。 感じが良くて、楽しい二人組だった。   私は 指名されているお姉さんにその席に 呼んでもらっていた。          そして、ある時から片方が来なくなった。 もう片方はその後、一人で来ていた。   指名のお姉さんが一度聞いても、たまたまだとか、相手は忙しいだとか言っていた。  その後に、又その片方が久しぶりに来たので、指名のお姉さんが又聞いた。何故最近、そのもう一人が丸で来ないのかと。    このお客は何かためらっていた。言いたくなさそうだった。だが付いていた皆が知りたいので、渋々、言い辛そうに言った。彼は死んだと。                 その彼は来ると、フィリピンの娘を呼びたがった。指名は日本人のお姉さんだが、(その次の)場内指名では、フィリピーナを呼んでいた。一人か二人かは忘れたが。     だから聞かれた彼は、私達に嫌そうに話した。本当は余り言いたくないんだけど、と前置きをしながら。            自分の友人はフィリピーナが大好きで、実はかなり遊んでいた。だからこの店のピーナ達何人かとも、外で会って関係していたし、 よくフィリピンにも女遊びをしに行っていたと。                  私達は凄く驚いた!そこまでとは誰も思っていなかった。              それで、最後にフィリピンへ遊びに行ってから戻り、少しすると何か体調が悪い。何か風でも引いたのだろうとか高をくくって、風薬を飲んでいた。             だが症状は一向に治らない為、仕方無く病院へ行った。そして検査をされた。すると  エイズだと判明して、速入院する羽目に  なった。                そしてそのまま入院中に永眠。帰らぬ人と なった。                当人も家族も、エイズだと分かった時は青天の霹靂だったそうだ…。         私はあの日、小松菜にこの話もした。その時は、喜んで聞いていた様子に一瞬陰りが見えた。                  私はだから言った。         「ね〜?だからさ、やっぱり気を付けた方が良いよ。行かない方が良いって。だってもしそんな風になったらどうする?そりゃ、ならなきゃ良いけど、そんなの絶対に分からないんだからさ。」             すると、チェッ、,詰まらない!、と、そんな残念そうな顔付きになった。      だが、結局小松菜は行ったのだ…。    続く…  

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