第10話 灼熱のラブバトル

第一回バンド練習から数日経ったある日、ストレートロングヘアーの美女から声をかけられた。



「ちょっといい?」

「橘さん…。」

橘カンナさんとは、正直、二人きりで話したことがない。

ちょっと緊張する…。

前から彼女のことは、知ってはいた。

クールな美人、成績優秀ということで目立ってた。

ただ、同じクラスになったことないので、話したことはない。

何となく話しかけづらい雰囲気もあるし…。



ってことで、ある教室を借りて放課後決戦(?)。



「あなた…。どういうつもりでバンドやってるの?」

「どういうって、桜木くんに誘われて…。」

「私には正直、あなたがボーカルに選ばれた理由がわからない。」

「え…」

「声も小さいし、やる気もあるのかわからないし。どうして遥人はあなたなんか選んだんだろ。」



色んな意味でガツンと来た…。

決して大きい声じゃない。

むしろ小さい声だ。

冷たく、ポツリと呟く言葉は心に刺さった。



全くその通りだ。

私自身が思っていたことを言い当てられた。

そして、恥ずかしくなった。



「私はあなたなんか認めない。遥人に言われなかったら、こんなバンド、入らなかったのに…。」

「さっきから、遥人、遥人って…。

桜木くんのこと好きなの?!」

「そうだけど。」



マジか…。

どうしたもんか…。

暑くなりかけた6月中旬、

灼熱のバトルを仕掛けられた…。






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