金色巨神ダンガル
全身オリハルコンで作られた巨大機械人形ダンカルが自由落下していく。筒型をした胴体の上にあるかなしかの小さな頭部が0ついていた。赤く光る機械の目があるだけで人間の鼻や口に相当するものはみあたらない。
背中には大荷物を背負ったような大きな膨らみがある。この膨らみは複雑な形をしていて、喇叭のような形をした部品が規則性を持って生えていた。複雑怪奇な部品の上に取り付けられているのは、近接戦闘武器であるオリハルコン製の槍である。
上腕は二本の骨格剥き出しで本当にそれで動くのかと疑うほど細い。しかし、そこから大仰なまでに堅そうな肘関節が続き、胴体に匹敵する太さを持った円筒形の前腕がぶらさがっている。さらにその先にある無骨な手には巨大な指がついていた。末端肥大のデザインである。それでいて、胴体の下から生えた脚は、歩く限界まで削ったのではないかと思えるほど細い。
「助けてくぇぇ……」
悲鳴をあげていたガストンがやっと意味ある言葉を発する。涙を流していた。
「大丈夫ですよ。ほらっ!」
ガストンの背後からイースの元気な声がする。その声とともにダンガルの背中の喇叭状の部品と両の
「最初の一撃は槍でお願いします」
イースに言われ、ガストンは我にかえる。長年使っているオリハルコン製の槍を手にとると、その動きがダンガルにそのまま伝わる。魔王の心臓めがけて一突き。
「
イースが叫ぶと、ダンガルの背中につけられた喇叭状の噴射機の方向が揃い、巨大人形兵器は激しく魔王の背中にぶつかった。持っていた槍がさらに深々と刺さり、黒い血が迸る。
「やったかな?」
イースの言葉には喜びが滲んでいた。それをガストンは苦々しく思う。
「やってねえよ!」
ガストンは吐き捨てた。
魔王の黒い血は別の生き物のように蠢きオリハルコンの槍を包み込もうとしていた。
「要らねえことをすんじゃねえ。槍ってのは強く突くより速く引くほうが大切なんだよ」
魔王の血はダンガルにも流れていき、巨大な蛇のようにまとわりつく。とっさにガストンは両手を振るったが、もうダンガルはびくとも動かなかった。
「おい、機械仕掛け。お前のせいなんだから、なんとかしろ!」
振り返ってイースの顔を見ながらガストンは怒鳴った。
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