手
寒いね、と私は言う
そうだね、とアナタが頷く
途切れ途切れの会話
どうしてもっと自然に言えないんだろう
アナタの前だと
私はまるでボーカロイドにでもなったみたい
声が上ずってしまわないように
それだけで精一杯
もっと上手に伝えられたらな…
吐く息の白さは昼間よりずっと濃い
アナタといられる時間はあと少しなんだなと
妙なところで実感させられる
目的地はすぐ目の前
私の左手は
ポケットに逃げ込むアナタの手を( )
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