053 うたた寝の軒の雨漏り…… 句切れなし、本歌取り

――――――

  五月雨のうたた寝を


うたた寝の 軒の雨漏り 夢うつつ 伝ひて落ちて いづこに消ゆる


・うたたねの のきのあまもり ゆめうつつ つたいておちて いずこにきゆる

――――――――――


[通釈]

 五月雨の中のうたた寝を詠んだ歌

 寝床に入らず、うとうとと眠っているさなか、夢かうつつか、軒から伝って落ちる雨垂れの音が聞こえて、はて、そのしずくは、いったいどこに消えていくのであろうか。


[補註]

・句切れなし。


―――――

うたた寝の 軒の雨漏り 夢うつつ 伝ひて落ちて いづこに消ゆる

―――――――


[本歌取り]

  「閑中の春雨」という題で詠んだ歌

64 つくづくと春の眺めの寂しきはしのぶに伝ふ軒の玉水

◯つくづくと物思いをしながら、春の長雨を見ていて、さびしいのは、忍草に伝っては落ちる、軒の玉水であるよ。

   大僧正行慶だいそうじょうぎょうけい

『日本の古典 10 古今和歌集 新古今和歌集』河出書房新社「新古今和歌集」、整形引用者。


―――――

うたた寝の 軒の雨漏り 夢うつつ 伝ひて落ちて いづこに消ゆる

―――――――



(令和元年七月五日)(二〇一九年)(夏歌なつのうた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る