画用紙

勝利だギューちゃん

第1話

子供の想像力は、無限大。

大人には考えもつかない事を、画用紙に描く。


大人には見えない物が、子供には見えるのだろう。

自分も子供の頃は見えていたはずなのに、今は見えなくなった。


「俺、こんなの描いてたんだ」


納屋を整理していたら、幼稚園の頃描いた絵が出てきた。

でも、今の自分には、それが何かわからない。


下手だからではない。

モチーフ自体が、わからないのだ。


他はどうにかわかった。

おそらく、新幹線だろう。


でも、右上に、今の俺の手のひらサイズの大きさの絵があった。

何かわからない。


宙に浮いている。


おそらく、女の子と思うが、記憶にない。

「イマジナリーフレンドか?」

その言葉が、頭をよぎった。


新幹線の右上に、天使のような女の子。

わけがわからに。


でも、当時は不思議ではなかっのだ。


≪ようやく、見つけてくれたね≫

≪君は?≫

見覚えがある・・・

そうだ、昼間見つけた、画用紙の・・・


≪そう・・・小さい頃は、遊んだね≫

≪俺は、・・・ごめん・・・≫

≪いいんだよ。忘れて当然だから≫

子供の頃の記憶は消される。


それがどんなに、大切な事でも・・・


≪ところで、君は一体?≫

≪私は、君が作り上げた存在≫

≪イマジナリーフレンド?≫

少女は頷いた。


≪私は君が作り出した存在≫

≪存在?≫

≪君により命を与えらた。でも、いつまでも、そばにはいられない≫

≪どうして?≫

≪君の成長が止まってしまう。だから、私は去った・・・でも≫

でも、何だろう?


≪時々は、思い出してほしい。だから、記録を残しておいた≫

≪それが、あの画用紙の?≫

≪うん。≫

少女は笑顔で手を振る。


≪じゃあ、今日はこの辺で・・・またね≫

≪いつ会えるの?≫

≪君が、人生に迷った時に、助けに来るから・・・

いつでも、空から見ているよ≫

少女は消えた。


気が付くと、俺は納屋にいた。

「あっ、寝ていたのか・・・」


いつの間にか、寝ていたようだ。


画用紙を手に持っていた。

「あれ?右上には、何かいたような・・・」


手にした画用紙には、新幹線が描かれていた。

「そういえば、新幹線の運転士になるのが、夢だったな」


微笑ましくなった。



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画用紙 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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