梅津 葵 第1話

「なあ、あおー。」


「…。」


「あーおーいー、」


「…。」


「あーおーいーくーんー?」


「…。」


「あおいっ!」


「うわっ!」


「やっと気づいた。」


「大丈夫。ありがと。」

「そういえば、どうしたの?」


「いや、次体育だし、早くしないと遅れると思って」


「あっ、ほんとだ。」


「最近、どうした?よくぼーっとしてるけど」


「いや、なんもないよ。」


なんもなくない。

寝ても醒めても、あの子のことを考えてる。

でも、そんなの言えない。


「ただ、寝不足なだけ。」


「そっか。まぁ、体調崩すんじゃねぇぞ。」


「うん、ありがと。」



嘘ついてごめんな。

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