老若男女美醜洞窟

アーサー

第1話

昔々。或村に又八という女好きの青年が旅の途中に訪れた時の話。

彼はとても顔の綺麗な青年で、村の女達にもすぐに好かれた。彼はまた気さくで人当たりも良かった。又八に初めて話しかけられる女達は嬉しく思うし、人に対して怒ったりすることもない彼を村の女達は慕っていた。

最初の印象は良かった。

しかし彼の女好きは度が過ぎた。

ある晩、自分の気に入った娘の家に転がり込み、娘を抱こうとしたのだ。

娘は又八の事は好きでも嫌いでもないので、男女の関係を持ちたくない旨のことを伝えたが、又八は聞く耳を持たない。

「帰ってください!」

「肩を揉んでやると言っているのだ」と娘の体に触る口実に又八は言う。

「やめてください!」娘は手を払いのけ自分の家から抜け出し、近所の寺に逃げ込んだ。後に住職から聞いた話によると、彼女は一晩中眠れず震えていたそうだ。

又八が来てからこのような事が数回起こった。

今まで女に好かれてきた又八は、女に対して傲慢でもあったのだ。女なら皆、自分のことが好きだと思っているのだろう。そして村の者がよくよく又八の事を見てみると彼は顔が綺麗で愛くるしい娘にしか声をかけないのだった。


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