223話 少年の日の思い出
俺たちがまず行った先は、「日本の森」という場所。ここでは河川に住む魚たちを見ることが出来るらしい。
「見てみて葵! 多分あれがカワムツって魚。オシドリ色味がすごいなぁ。おっ、オオサンショウウオって初めて見たけどなかなか良いな。カワウソめっちゃ可愛い」
すごいすごい。めっちゃテンション上がる。まだ最初の展示なのにここまで楽しいなんて。
さらに違う角度から眺めようと移動するところで葵に裾を掴まれる。
「もう祐くん、私を置いていかないでよ。それに興奮し過ぎだよ」
ぷくぅっとほっぺを膨らませて抗議してくる葵。ほっぺを膨らませてる姿、フグ見たいだな。
「ちょっとちょっと、祐くん何か失礼なこと考えてない?」
「いやいや。ただ可愛いなって」
「もう。そう言っても誤魔化されないんだからね。でも祐くん、やっぱりこういうことろ好きなんだ」
「うん、めっちゃ好き。自然すごい好きなんだよ」
綺麗な自然の中を歩いたり、写真を見たりするだけでもとても楽しい。実際に行って雰囲気を感じると最高だ。
「そんなところも変わってないんだね。小学生の頃から好きだったよね。私もたまに学校の近くの山に一緒に行ったの覚えてるよ」
「懐かしいなぁ」
まだハードボールを初めてなかった頃、夏の山に入ってセミを取ったこともあった。流石にもうしないけど。
「私も乙女になっちゃったからね。野山を走り回るのはもう無理だけど、こういう風に自然見てると小さい頃に戻った気がする」
「俺はあの頃から葵のこと大好きだったんだからな」
「もうっそれは私もだもん!幼いながらに好きって気持ちはあったんだから」
お互いに小さい頃から好きだったということで意地を張り合う。冷静になるとなんで俺たちこんなことしてるんだろう。
「葵が俺のこと大好きなのは分かってる」
「うん、私も祐くんが私がいないとダメなくらいに私のこと大好きなのは分かってるよ」
「じゃあ2人で展示見ようか。あれがさっき言ったカワムツ」
とにかく落ち着いたので次は葵と一緒に楽しむことにする。ほっぺがくっつきそうなくらいに肩を寄せ合って。
「じっくり見ると可愛いよね。小さいさかなクンってさ。私も金魚とか飼ってみようかな」
「良いかもしれないな。帰ってきた時の癒しになるかもね」
「まぁ私には癒しの存在として祐くんかいてくれるから良いんだけどね」
「嬉しいこと言ってくれる」
まだ水族館に入って全然経っていないのに充実した時間を過ごす俺たちだった。
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