第27話 魔物部屋

 私達は廊下に出て、9階への階段を捜します。

 フロアにはラミア・バンパイア・シャドウナイトが徘徊していました。


 ラミアは蛇に生態が近いので、氷系の魔法が弱点です。

 ピーちゃんが【氷弾】を撃ち、ケンちゃんとスズちゃんが剣で止めを刺しました。


 バンパイアは、心臓を突き刺したり、首を刎ねたりして倒します。


 シャドウナイトは物理攻撃があまり効きません、目玉が無いので【ブラインド】も効きませんし、硬い骨ばかりなので【石化】も役に立ちません。

【浄化】を使うと簡単に倒せますが、つまらないし戦闘経験も積みたいので、魔法で倒しました。


 因みにマリエル隊は全員が、私が採取して鍛えたミスリル製の武器を装備しています。

 ケンちゃんがブロードソード、スズちゃんがショートソードで戦いました。

 ピーちゃんはカピバラなので武器を持てません、私があげた家紋入りの青いバンダナを首に巻いてるだけです。



「はぁぁ、君達は強すぎるね! 10階の魔物が簡単に倒せるなんて」

 王子が感嘆の声をあげました。


「お褒め頂き光栄です」



「マリちゃん、扉が有るよ! 階段は扉の向こうなのかなぁ?」


 通路の行き止まりに有る観音開きの重厚な扉の前まで来ました。


「これはもしかしたらボス部屋かも知れないよ。とりあえず他を探してみようか?」


 ギギギギギィィッ!


「開いた開いた、さぁ入ろ~!」


 王子の忠告を聞いてなかったケンちゃんが、サッサと扉を開けてしまいました。



魔物部屋モンスターハウスだぁぁぁっ!」


 扉を開けるとそこはモンスターハウスでした。

 小学校の体育館ほどの部屋に魔物がギッシリ沢山詰まっています。



「ケンちゃん中に入っちゃダメ! 早く戻って」


 私はケンちゃんの腕を引っ張って、入口近くに居たラミアを【石化】しました。入口から出ようとする魔物の通り道を狭くしたのです。



「王子、ミスリル製のブロードソードです。これでバンパイアの心臓を突き刺してください」

 私はマジックバッグから剣を出して渡しました。


「ありがとう」



「部屋全体に【範囲浄化】!」


 ピッキィイイインッ!


 魔物部屋に居た全てのシャドウナイトが光の粒になり、キラキラと光りながら煙が昇るように消えて行きます。

 私は更に、入口の扉に群がってくるバンパイアとラミアに【ブラインド】を掛けて視覚を奪います。


 ピッキィイイインッ!



 目が見えなくなった魔物が同士討ちを初めました。

 私は更に、奥の魔物に対して2個の【癇癪玉】を投げ入れます。


 ビュ、ビュンッ!

 パパァァァンッ!


「ヒギャアアアアアッ……」

「ゲフンッ、ゲフンッ、ゲフンッ、ゲフンッ……!」

「ウゲゲゲゲェェッ……!」



 王子とケンちゃんとスズちゃんは、扉の外からミスリル製の武器で、バンパイアに止めを刺していきます。

 ピーちゃんはラミアに【氷槍】アイスランスを撃ち込んでいきます。



 私はシャドウナイトを【範囲浄化】で倒した時に、光属性魔法がレベル7に上がったので、新しく覚えた光属性魔法を試す事にしました。


「バンパイアを【雷撃】ライトニングボルト!」


 ピカッ、バリバリッ、ドォォォンッ!


 バンパイアを1発で倒しました。



「そう言えば、バンパイアは光属性魔法が弱点でしたね」


「そうですわね、レクシ王子」


「はい……でもマリーの光属性魔法は王国の聖女様を凌駕してますね」


「ウグゥ……そんな事は無いですぅ、気のせいですぅ」


 ♪ピー、ピー、ピー……、

 マリエルは口笛を吹いてやり過ごしました。



 私とピーちゃんは【雷撃】と【氷槍】を次々と魔物に撃ち込んで止めを刺します。

 王子・ケンちゃん・スズちゃんは、扉の手前から剣で止めを刺して、全ての魔物を倒しました。



 魔物が徐々に消えて行きアイテムがドロップします。

 部屋の奥には宝箱が3つ残りました。

 私達は部屋に落ちてる沢山のアイテムを獲得しました。


 そして宝箱のアイテムも全て取り、『ダンジョン制覇の証』のブローチをゲットしました。

 やがて宝箱も消えて、また奥に扉が現われます。


 ブゥウウウウウンッ!



「今度こそ地上への階段だよね!」


 ガチャリ!


「もう、ケンちゃんたらぁ!スグに勝手に開けないでよ! さっきミスを犯したばかりでしょっ!」


「マリちゃん、ごめんよ~」



 そこは、8畳ぐらいの小部屋で何も有りませんでした。

 奥の壁に張り紙があり、


『おめでとう全員入ったら扉を閉めてください、地上に転移します』

 と書いてあります。



 私達は全員が入ると扉を閉めました。


 ブゥウウウウウンッ!


 床に大きな魔方陣が浮かび上がり、光に包まれます。


 シュィイイイイインッ!


 私達はダンジョン前の広場に一瞬で転移したのでした。




「「「おかえり~」」」


 ブランくんとグレーテちゃんとモモちゃんが待っていて出迎えてくれました。



「まぁ! これは4年生が学年末試験で取得する攻略証明書です」


 先生がビックリしてました。



「とにかく無事で良かったですぅ」


 ♪ピー、ピー、ピー……、

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